「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏と共に、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える連載企画。今回はテレビ番組で紹介された途端、大ヒットとなった足裏ブラシ。類似品との差異化に成功した好例だ。
サンパックは、家庭用品やパッケージ、什器などの企画・開発から販売まで手掛けるメーカーだ。大阪府吹田市に本社を構え、兵庫県丹波市に樹脂製品製造の自社工場を持つ。同社は1996年、初のオリジナル商品として、浴室で足を洗いながらマッサージができる足裏専用のフットブラシ「足洗おっ!」を発売。その後、改良を重ねながらフットブラシという市場を開拓してきた。
2012年にブラシの先端に研磨剤を塗布した「フットグルーマー」を発売。その改良版として17年9月に誕生したのが「フットグルーマーグラン」だ。テレビで紹介され大ヒット商品となり、同社のフットブラシの累計販売数は62万個を突破した(18年11月現在)。
ブラシの先端に研磨剤を塗布する技術はサンパックが独自に開発し、特許も取得。研磨剤により、程よい刺激があり、心地よく足指の間まで洗浄できる。実証実験により、継続して使用することで角質が除去され、足裏の血行促進やリラクセーション効果も期待できることなどが分かっている。国内の自社工場で生産し、ブラシ本体の品質も高い。
GRAPHの北川氏は、フットグルーマーグランの開発段階からブランディングを担当。データで実証された高い機能性を効果的に伝えるために、商品やパッケージのデザインだけでなく、展示会や売り場のディレクションを手掛けている。サンパックの青山総一郎社長は「売り方と見せ方を変えたことで、フットブラシ商品の売り上げは前年の約3倍となった。現在、北川氏と一緒に、既存商品のリニューアルと新商品の開発をしている」という。
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