「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏とともに、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える連載企画。今回は、珍味メーカー伍魚福の前編。意表を突くようなスローガンと商品のネーミングが生まれたワケとは? そのデザイン戦略を「課題」「検討」「解決策」の順に追う。
●名刺(裏面)
名刺の裏面には、伍魚福で売れ筋の商品の写真を印刷している。商品のクローズアップ写真をテクスチャーのように使用し、インパクトを狙った。「名刺の写真は20種類ほど。数名と名刺交換をすると写真の違いで盛り上がる。もっと欲しいと言われて、絵柄の異なる名刺を何枚も渡すこともある」(伍魚福の山中勧社長)。「珍味を極める」というスローガンは「すばらしくおいしいものを造り、お客様に喜ばれる商いをする」「神戸で一番おもしろい会社を目指す」という伍魚福の理念を的確に表したものだ。ロゴの最後にハートマークを入れて愛嬌のあるデザインにすることで、珍味を極めているが、超高級珍味とは違うことをさりげなくアピールしている
伍魚福は、珍味を販売する食品会社だ。創業は1955年。イカの加工品を下請けとして製造する小さな工場から始まり、現在は約400種類の珍味を販売している。特徴は、工場を持たないファブレスメーカーであることだ。商品企画と卸しは伍魚福が手掛け、製造は全国200社ほどの協力工場が担当している。そのため、次々と新商品を開発することができるのだという。現在、全国のスーパーなどに専用の売り場を4000以上持ち、大阪・梅田の阪神百貨店には直営店もある。
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