「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏とともに、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える連載企画。今回、芋焼酎「紅小牧」の後編。500円値上げしたにもかかわらず、注文が殺到した理由とは? そのデザイン戦略を「課題」「検討」「解決策」の順に追う。

紅小牧 500円値上げしても注文相次ぎ生産追いつかず(後編)(画像)
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芋焼酎「紅小牧」のボトル。グローバルブランドのウイスキーと並んでも遜色ないデザインを目指し、1年ほどかけてオリジナルボトルを開発した。照明を落とした空間に置くと、マットな質感の赤色が光を吸収し、妖艶な印象になる。「味覚は舌だけで感じるものではない。ボトルやラベルの見た目、酒器の口当たりなども影響する」(北川氏)。720mlで2490円(税込、以下同)

解決策:“今の日本”で世界を目指す

 紅小牧は原料と製法もあらためて厳選し、価格を約500円値上げした。酒販店など特約店には現物をサンプルとして送り、リニューアルのポイントを伝えると、注文が次々と入ったという。「予想以上の反響で、生産が追いつかない状況が続いた。全国の飲食店やバーからも注文が入り、海外でも販売されるようになった」(小牧専務)。

 シンボルマークは、小牧醸造の家紋「丸に花菱」を基にデザインした。丸みを帯びたひし形のマークはシンプルに見えるが、実は小さな丸をいくつも組み合わせて表現した複雑な構造になっている。ラベル上部にある「●」は、現状に満足せず、高みを目指していく志を表したものだ。焼酎は男性が好む酒というイメージが強いため、女性客の取り込みも狙って、紅小牧という商品ロゴはあえてポップでかわいらしいデザインにした。