「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏とともに、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える連載企画。今回は、芋焼酎「紅小牧」の前編。意表を突くような真っ赤なボトルを採用した真意は? そのデザイン戦略を「課題」「検討」「解決策」の順に追う。

芋焼酎「紅小牧」のボトル。グローバルブランドのウイスキーと並んでも遜色ないデザインを目指し、1年ほどかけてオリジナルボトルを開発した。照明を落とした空間に置くと、マットな質感の赤色が光を吸収し、妖艶な印象になる。「味覚は舌だけで感じるものではない。ボトルやラベルの見た目、酒器の口当たりなども影響する」(北川氏)。720mlで2490円(税込、以下同)
芋焼酎「紅小牧」のボトル。グローバルブランドのウイスキーと並んでも遜色ないデザインを目指し、1年ほどかけてオリジナルボトルを開発した。照明を落とした空間に置くと、マットな質感の赤色が光を吸収し、妖艶な印象になる。「味覚は舌だけで感じるものではない。ボトルやラベルの見た目、酒器の口当たりなども影響する」(北川氏)。720mlで2490円(税込、以下同)
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小牧醸造は、これまで大きな水害に幾度も遭い、そのたびに復興してきた。こうした歴史を踏まえ、書体をあえて統一せず、余白の取り方を工夫して過去と現在が入り交じったようなデザインを目指した。「パッケージのリニューアルとともに、何もかも新しくする必要はない。小牧醸造のルーツと、これまで歩んできたルートを感覚として残せないかと考えた」(北川氏)
小牧醸造は、これまで大きな水害に幾度も遭い、そのたびに復興してきた。こうした歴史を踏まえ、書体をあえて統一せず、余白の取り方を工夫して過去と現在が入り交じったようなデザインを目指した。「パッケージのリニューアルとともに、何もかも新しくする必要はない。小牧醸造のルーツと、これまで歩んできたルートを感覚として残せないかと考えた」(北川氏)
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 小牧醸造は、鹿児島県の薩摩半島北部、さつま町にある焼酎の蔵元だ。創業は1909年で、小牧一徳社長は5代目となる。代表銘柄「小牧」をはじめ、地元・さつま町で飲まれている「伊勢吉どん」や、創業当時の味を受け継ぐ「轟乃露黒」、先代の社長が女性向けに開発した「紅小牧」、創業100周年記念として造った「一尚(シルバー、ブロンズ)」など、芋焼酎を製造・販売している。

 北川氏は2014年、大阪で開催された酒のイベントで小牧醸造と知り合い、同社のブランディングを手掛けることになった。その手始めとして2016年、紅小牧をリニューアル。原料や仕込みの方法を見直し、パッケージデザインも一新した。その結果「紅小牧の売り上げは、前年比3倍以上となった」(小牧醸造の小牧伊勢吉専務)。その後、2017年に一尚のボトルとラベルのデザインもリニューアルし、順調に売り上げを伸ばしているという。