ウエルネスD2Cブランド「TENTIAL(テンシャル)」が成長を続けている。インソールやリカバリーウエア、スリープソックスなど、日常の健康課題を解決するユニークな機能性商材を次々と開発。特に人気が高いリカバリーウエアは、15万着(2023年1月時点)を販売している。これらの商品を生み出す発想や、早稲田大学と行っている製品の効果検証のための共同研究の意義について、運営元のTENTIAL(東京・中央)の中西裕太郎社長に聞いた。
プロサッカー選手を目指していた中西社長は、サッカーでインターハイ出場経験を持つ実力者だった。しかし病気でその夢は頓挫。そこからビジネスの世界に足を踏み入れたものの、中西社長は、「一般的なビジネスマンと、自身が持っている健康知識の差に驚いた」という。またプロスポーツ選手も、競技中のコンディションには気を使うものの、私生活ではそれほど体のケアができていないことに気付いた。ここにビジネスの種を感じ、「歩く・寝る・働くなどの、日常生活の健康課題解決」をテーマに掲げ、2018年、TENTIALの創業に至った。
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TENTIALはもともと、「SPOSHIRU」(現在はオウンドメディアに役割を移管して閉鎖している)というメディア運営から事業を始め、健康情報を発信していた。ただ中西社長は、「それだけでは健康課題の直接的な課題解決にはつながらない」と、ものづくりに乗り出すことを決意。運動性(歩行時の推進力、運動時の俊敏性)と、安定性(直立姿勢で体のバランスを取る)を備えたインソールから商品開発を始め、現在はスリープウエア、リカバリーサンダルなど、約50の商品を展開している。22年は女性用インナーウエアやマットレスなど、約20の新商品を発売した。
商品の購買層は40~50代が多く、男女比はおおよそ6対4。クロスセルを促すためのマーケティング施策や、6万円を超えるマットレス「BAKUNE RECOVERY MATTRESS」のような高単価商品を適宜投入することで、成長を実現している。23年3月には、名だたるVC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)から10億円の資金調達も発表した。
前述のように、TENTIALの開発の出発点は日常生活の健康という社会課題だ。そこから、どのようなプロセスで商品開発に取り組んでいるのだろうか。
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