なぜ快活クラブは“一人勝ち”しているのか。インターネットカフェ業界は、個人用インターネットやスマホの普及の影響で、市場規模がピーク時から半分以下になっている。しかし、そうした中でもひとり気を吐き、ほぼ右肩上がりで成長し、シェアが45%と“一強”となっているのが、AOKIホールディングス傘下の快活フロンティア(横浜市)が運営する「快活CLUB」だ。圧倒的な強さの秘訣は何か、マーケティングの秘密に迫った。

快活CLUBはなぜ強いのか、同事業を展開する快活フロンティアの常務取締役である中川和幸氏に直撃した
快活CLUBはなぜ強いのか、同事業を展開する快活フロンティアの常務取締役である中川和幸氏に直撃した

 インターネットカフェは、インターネットに接続できるパソコン自体が貴重だった2000年代は利用者も多く、ピーク時には市場規模が2000億円以上に及んでいた。ただ、10年代になり、スマホの普及率が50%を超えたころから利用者が激減し、近年は1000億円程度と半分以下に沈み込んでいる。

 しかし、そうした業界全体の落ち込みとは裏腹に、正反対の成果をたたき出しているのが、「快活CLUB」だ。紳士服大手のAOKIホールディングスの傘下である快活フロンティアが運営しており、店舗数は12年度の209店舗から21年度には504店舗と約2.5倍に激増。売上高も21年度(22年3月期)で約469億円と、10年間で約2.8倍と大きく膨れ上がっている。売上高シェア率は12年度が11%だったが、21年度には何と45%と大きく拡大している。

 快活CLUBだけが同業他社を圧倒する業績を上げられている理由は何か。それはいくつか考えられるが、最初にいえるのが、全店直営店であるため、パソコンなどの機材も定期的に刷新し、新しい設備が整っていることだ。FC(フランチャイズチェーン)展開をしていると、オーナーによって設備投資を怠るケースもあるが、快活CLUBはFC店がなく、設備の更新が本社主導で一斉にできる。

 また、独自のサービスを次々と導入している点も挙げられる。女性専用エリアの導入や、ドリンク飲み放題に加えてソフトクリーム食べ放題も実施し、鍵付き完全個室の導入、シャワーやタオルの無料化も果たして(一部店舗は有料)、さらには無料モーニング(現在は無料トーストのみ、一部店舗)をふるまうなど、お得感いっぱいのサービスを満載している。そうして最新の設備もサービスも頭ひとつ抜き出ていることが、「ネットカフェを使うなら快活CLUB」と、利用者に選ばれる店舗になる武器となり、一人勝ちの様相を呈している。

ソフトクリーム食べ放題など、多様なサービスを標準装備するのも人気の理由
ソフトクリーム食べ放題など、多様なサービスを標準装備するのも人気の理由

人気のサービスは“緩い会議”から生まれる

 気になるのが、なぜこうした消費者受けする独自サービスを矢継ぎ早に実装できているのかということだ。実は、ある企業カルチャーを運営母体である快活フロンティアが持っていることこそが、勝ち筋を生む原動力になっている。その企業カルチャーとはどのようなものなのか。

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