「コラボしてくれてありがとう」と「このコラボ、意味あるの?」この境目はどこにあるのか――。情熱を持って自分の「推し」を応援する「推し活」。その熱量はとても高く、推しと企業がコラボした商品をファンが買い求める姿も目立つ。ただ、その一方でファンに見向きもされないばかりか嫌われるコラボすらある。今回は、FinT(東京・目黒)が展開する、Z世代を中心に累計フォロワー90万人を超える女性向けメディア「Sucle(シュクレ)」の編集部が推し活にいそしむZ世代4人と座談会を実施。「ファンを味方に付けるコラボ」の5条件を探り出した。

推しと企業のコラボ、成功の分岐点は? (写真/Shutterstock)
推しと企業のコラボ、成功の分岐点は? (写真/Shutterstock)

 アイドルや俳優、2次元キャラクターなど、自分が好きなもの、あるいはそれを応援する気持ちとして「推し」という言葉がすっかり定着しました。そんな推しを応援する活動、いわゆる「推し活」は、かつてはコンサートやイベントに参加するなど、リアルに推しの存在を感じられる行動が一般的でした。

 一方、今の推し活のトレンドは多様化してきています。特に顕著なのは、日常生活の中でも推しの存在を感じられる商品やサービスが登場したこと。例えば、推しのイメージカラーを使った「推し色」グッズの他、推しがアンバサダーに起用された食品やコスメなど、その展開は多岐にわたります。

 ただし、推し活をするファンにとって、企業とのコラボレーションは繊細なもののようです。本来、商品の認知獲得や購買促進、イメージアップを狙って行われるコラボですが、やり方次第では、かえってファンの反感を買ってしまうケースもあるというのです。

 では、ファンに愛されるコラボとそうではないコラボの差は何なのでしょうか? どうして同じ「推しと企業のコラボ」でも、結果が二極化してしまうのでしょうか?

 企業にとっては、このファン心理の微細な差分を理解することこそがとても大事であり、ファンを一気に味方に付ける条件となりそうです。そこで、このポイントを探るべく、異なる領域で推し活にいそしむ4人のZ世代を集めた「推し活談義」を開催。企業と推しがコラボに関してリアルな感想を聞かせてもらい、「ファンを味方に付けるコラボ」の5条件をまとめました(5条件は記事の最後に)。


【参加メンバー】

A:3歳からハロプロが好きで、ファン歴は20年以上。今はアンジュルムが最推し。
B:7年前からK-POPファンに。2年前からSEVENTEENを推している。
C:嵐を追いかけて14年。小学生の頃からジャニーズ好きで、なにわ男子も約2年前から推しの対象に。
D:2次元にはまって早5年。主に少年ジャンプの作品や、スマホゲーム『あんさんぶるスターズ!!』のキャラクターに夢中。

ファンが思ういいコラボとは

――まずは、企業と推しのコラボで良かったと感じた事例、記憶に残っているものなどを教えてください。

A だいぶ前になりますが、松浦亜弥ちゃんがイメージキャラクターを務めた資生堂のヘアケアブランド「ティセラ(TESSERA)」のテレビCMは、記憶に残っています。

 当時人気だった楽曲「桃色片思い」が起用され、キラキラとかわいい世界観のCM、フルーツの香りという商品特徴、ピンクやハートなど「かわいさ」を基調としたパッケージデザイン……全てがキュートなイメージの松浦亜弥ちゃんに合っていて、本人を体現しているように感じました。「この商品を買えばあややになれる。ハロプロ=アイドルに近づける」という期待感も醸成されたと思います。

B 「推しに近づける」というのは、購買意欲をかき立てられる重要な要素ですよね。私の場合、韓国のアイドルグループ・SEVENTEENのウォヌがアンバサダーを務める韓国コスメブランド「Huxley(ハクスリー)」とのコラボが記憶に残っています。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
11
この記事をいいね!する