“silentロス”という言葉が放送終了後につぶやかれるほど、多くの人の心を揺さぶったフジテレビ系のドラマ「silent」。1話平均600万回弱という、驚異的な見逃し配信再生数を記録する、一躍ヒット作品となった。ヒットの理由は、作品性の高さにあるのは間違いない。また、脚本や監督に若手を積極的に起用し、その感性を生かしたことも大きい。では、なぜ若手に託すことになったのか、そして託すことができたのか、多数のヒット作を手掛け、silentのプロデューサーも務めた村瀬健氏に直撃した。

ドラマ「silent」のプロデューサーである村瀬健氏に、制作の裏側を聞きにいった
ドラマ「silent」のプロデューサーである村瀬健氏に、制作の裏側を聞きにいった

 2022年10月に第1話が放映されると、たちまちTwitterのトレンドランキング上位を独占し、“泣けるドラマ”と話題になったフジテレビ系のドラマ「silent」。見逃し配信再生数(TVer、FOD、GYAO!の合計)は、民放「テレビ番組史上最高」となる1話平均600万回弱を記録した他、ロケ地に足を運ぶ人が続出するなど、“恋愛ドラマ離れ”といわれて久しい中で社会現象を巻き起こした。

2022年10月6日から12月22日まで、木曜10時の「木曜劇場」枠で放送されたフジテレビ系ドラマ「silent」。主演は川口春奈さん、共演はフジ連ドラ初出演の目黒蓮さん(Snow Man)。鈴鹿央士さんの好演も話題に。ストーリーは完全オリジナルで、川口春奈さん演じる主人公の紬(つむぎ)が、目黒蓮さん演じるかつての恋人の想(そう)と8年の時を経て再会し、そこに待ち受けていた重い現実と向き合いながら乗り越えていこうとするラブストーリー。(C)フジテレビ
2022年10月6日から12月22日まで、木曜10時の「木曜劇場」枠で放送されたフジテレビ系ドラマ「silent」。主演は川口春奈さん、共演はフジ連ドラ初出演の目黒蓮さん(Snow Man)。鈴鹿央士さんの好演も話題に。ストーリーは完全オリジナルで、川口春奈さん演じる主人公の紬(つむぎ)が、目黒蓮さん演じるかつての恋人の想(そう)と8年の時を経て再会し、そこに待ち受けていた重い現実と向き合いながら乗り越えていこうとするラブストーリー。(C)フジテレビ

 ヒットした理由は後からみればいくらでもあるだろう。フレッシュなキャストの好演、巧みなシナリオ、緻密で丁寧な心理描写、ついつい誰かと共有したくなる展開……。TikTokなどを活用した、積極的なSNS戦略も今の時代にマッチしたのは間違いない。

 作品としての完成度の高さはもう誰もが知るところだろう。そこで今回は、ヒットの裏にある若手クリエーターの活躍に着目した。

 「映画のような美しい映像や、伏線がちりばめられた秀逸な会話劇」を実現したのは、2人の若手クリエーターの存在があったからこそ。その2人とは、脚本家の生方美久氏と監督の風間太樹氏だ。

村瀬氏が熱望し、「silent」の脚本を担当することになった生方美久氏 (C)フジテレビ
村瀬氏が熱望し、「silent」の脚本を担当することになった生方美久氏 (C)フジテレビ
監督には、風間太樹氏を起用 (C)フジテレビュー!!
監督には、風間太樹氏を起用 (C)フジテレビュー!!

 生方氏は、本作が連続テレビドラマデビューの29歳。一方の風間氏は、ゴールデンタイムのテレビドラマを初めて手掛けた31歳だ。silentが放送された「木曜劇場」(木曜10時枠)は、“月9”(月曜9時枠)と並んで長い歴史を持つまさにフジテレビの看板ドラマ枠。なぜ、勝負ドラマに若手主体のチームで挑んだのか。ドラマの仕掛け人であるプロデューサーの村瀬健氏に、大ヒットドラマを生んだ若い才能の抜てき秘話、そして若手が自由に才能を発揮するために何をしたのかを聞いた。

人気枠で、なぜ若手に懸けようと思ったのか

 「今回は、若いクリエーターの力を信じて、ドラマをつくろうと最初から決めていた」という村瀬氏。その理由を自身の年齢を踏まえて、こう説明する。

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