完全プラントベースで環境や健康に配慮したクッキーなどを扱う「ovgo Baker(オブゴベーカー)」が、多くのZ世代を引き付けている。クッキー一つひとつの温暖化ガス排出量を開示したり、環境対応に関する国際的な認証制度「B Corporation(Bコーポレーション)」をいち早く取得したりと、サステナブル(持続可能)な取り組みで先行する。その一方、リアル店舗では韓流アイドルなどとのコラボを仕掛け、人気を博す。その狙いとは。

ovgo Bakerの完全プラントベースクッキー(写真提供/ovgo)
ovgo Bakerの完全プラントベースクッキー(写真提供/ovgo)
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 2021年6月に初の路面店を東京・日本橋小伝馬町に出店して以降、全国6拠点に展開。22年の売り上げは前年比10倍以上と、Z世代の女性に人気を博しているのが、アメリカンビーガンベイクショップの「ovgo Baker」だ。

 運営するovgo(オブゴ、東京・千代田)は三井物産出身の溝渕由樹氏が19年に創業した。社名の由来は、”organic, vegan, gluten-free as options”の頭文字で、看板商品はボリューム感があり、バターの代わりに米油や豆乳を使った完全プラントベースクッキー。ビーガン(完全菜食主義)の人を含めすべての人が健康的に食べられ、サステナブルにも配慮したものだ。

ovgoのチョコレートクッキーの環境評価(画像/ovgo資料から)
ovgoのチョコレートクッキーの環境評価(画像/ovgo資料から)
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 実際、同社のチョコレートチップクッキーの温暖化ガス排出量は約60グラムで、バターや卵、ミルクを使った一般的なチョコレートチップクッキーに比べ、温暖化ガスの排出量を約84%も削減できているという。これは、原材料調達から生産・加工、輸送、販売・消費、廃棄・リサイクルまで、環境への影響を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)を行うクオンクロップ(東京・千代田)による分析だ。

 排出量削減の要因としては、畜産などに頼らない完全植物性であることに加え、できる限りオーガニックかつ国産の食材を使うことで、農薬による汚染が抑えられて健全な土壌を守れること、海外輸入の食材に比べて輸送時の温暖化ガス排出が少ないことなどが挙げられる。「定番のクッキーは20種類ほどあるが、今後商品パッケージやECの商品ページなどで排出量の少なさを訴求していく」(溝渕氏)

 また、連携するクオンクロップはLCAを基にした商品のエコ度と消費量に応じて「Myエコ貢献スタンプ」をためられるアプリ「Myエコものさし」を展開しており、今後はovgo Bakerも参加していく予定だ。

意外な事実判明、「Z世代=EC好き」ではない

 ovgo BakerがZ世代女性の人気を集めるきっかけとなったのが、20年12月に出店したラフォーレ原宿のポップアップショップだ。それまではミレニアル世代の女性へ訴求するため、青山ファーマーズマーケットでの出店を主力としていた。ミレニアル世代はビーガン、オーガニックに関心は高いものの、一度体験してネガティブなイメージを持っていたり、説明して共感してもらうまでにかなりの時間を要したりする傾向があった。

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