イタリア発のレディスアパレルブランド「ナラカミーチェ」は、売上構成比の実に約4割をEC経由が占める(2022年3月期)。新型コロナウイルス禍で減少した客足が徐々に実店舗に戻る中、重点的に取り組んでいるのがECサイトと実店舗を連係した接客提案の強化や在庫管理の効率化だ。施策の狙いやポイントについて、ナラカミーチェジャパン(東京・港)の執行役員 CSO(最高戦略責任者)販売本部部長 末吉聖人氏に聞いた。

ナラカミーチェのECサイトトップページ
ナラカミーチェのECサイトトップページ

 ナラカミーチェは、イタリア・ミラノ生まれの女性向けアパレルブランド。シャツやブラウスを主力商品とする。豊富なカラーバリエーションや充実した品ぞろえが顧客に支持されている理由の1つで、40~60代の女性を中心に根強いファンを抱える。ECサイトも展開しており、ECの延べ会員数は6万人(2023年1月時点)という。

 ナラカミーチェが18年から戦略的に進めてきたのが、ECの販売強化だ。18年当時、15%にとどまっていたEC化率(売り上げ全体に対するEC売り上げの割合)は、41%(22年3月期)まで引き上がった。新規顧客の拡大に加え、実店舗とECを併用しながらリピート購入する既存顧客の増加が、EC化率引き上げの要因となっている。

 リピート購入を促進するために、メルマガによるクーポン配信や、商品発送時の次回割引クーポン同梱(どうこん)、公式オンラインストアの直近ログインユーザーに対するクーポン表示など、ブランドと接点を持った顧客にあらゆる形でアプローチを行ってきた。その結果、22年3月期のリピート率は45%と、前年同期の30%から大幅に改善した。

売り上げに寄与したクーポンの仕掛け

 同社が展開する数ある施策の中でも、特にEC売り上げ向上に寄与しているのが、公式オンラインストアでのクーポン表示だ。これは、ECサイトを来訪したものの、購入を迷っているのではないかと考えられるユーザーにクーポン表示をして、購入を促すというもの。取り組みを始めた21年11月には成果が表れ、前年同月と比べて20%ほど売り上げが伸びたという。

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