「すっきり」「硬い」「まろやか」。ミネラルウオーターによく使う言葉はあれど、実際に味わいを決める要素は何なのか。科学的な分析によって「飲みごたえ」と「ミネラル感」で分類すると、新たなトレンドになりうる「中硬水」の存在が浮かび上がった。
新型コロナウイルス禍の生活を経て健康志向が高まる中、ミネラルウオーターの需要が増加している。日本ミネラルウォーター協会が2022年6月に発表したデータでは、ミネラルウオーターの1人あたりの年間消費量は、コロナ前の19年の31.7リットルから21年は35.4リットルと約1.1倍に。05年の14.4リットルからは、約2.5倍に増えた。
また、22年11月にサントリーが発表した「サントリーウォーターレポート」では、約6割が「飲み水」といえばミネラルウオーターを想起。特に20代、30代でその割合が高い結果となった。
日本ミネラルウォーター協会によると、一口にミネラルウオーターといっても、現在流通する種類は約1000にも及ぶという。それぞれの味は「すっきり」「マイルド」「まろやか」などと表現されるものの、飲み比べても「なんとなく違いが分かる」程度という人が多いのではないだろうか。実際に味わいを決める要素は何か――。味覚センサーを使用した科学的な分析結果を、味香り戦略研究所(東京・中央)が22年11月に発表した。
そもそも、ミネラルウオーターの「ミネラル」の定義とは何か。人間の体に必要な5大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)の1つで、カルシウムやマグネシウムなどの金属元素のことだ。生物にとっては、健康を維持したり、体の組織を構成したりするのに重要で、こうしたミネラル由来の成分が溶け込んだ水がミネラルウオーターと呼ばれる。
ミネラルウオーターは大きく軟水と中硬水、硬水の3つに分かれる。基準は、水1リットル中に溶けるカルシウムとマグネシウムの量で表される「硬度」という指標だ。数字的な基準はさまざまあるが、一般的には1リットル中の硬度100ミリグラム以下を「軟水」、101~300ミリグラムを「中硬水」、301ミリグラム以上を「硬水」と呼ぶ。
見た目には分かりにくい硬度だが、紅茶をいれるとその違いは歴然だ。茶葉や抽出方法を変えず、水だけを変えた紅茶が下写真の5点だ。左から、軟水の「サントリー天然水」(サントリー)、「い・ろ・は・す 天然水」(日本コカ・コーラ)、中硬水の「宮崎県霧島の天然水」(ファミリーマート)、硬水の「evian」(伊藤園)、「Contrex」。軟水は透明度が高く、ミネラルが含まれるほど透明度が低くなっていくことが分かる。
主要ミネラルウオーターの味わいマップを公開
今回、味香り戦略研究所は、国内の飲料メーカーやコンビニエンスストアのプライベートブランド(PB)など、計39商品をミネラルで分析。各商品を、マグネシウムやカルシウムの量を示す「ミネラル感」とベース(土台)となる味を感じさせる成分の量を示す「飲みごたえ」で数値化した。
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