「ぽっちゃりアラサーHina」のアカウント名で活動するインフルエンサーのHina氏は、アメーバブログ(以下、Ameba)やYouTube、Instagram、Twitterなどの各種SNSの累計フォロワーが25万人を超える。そんなHina氏がプロデュースを手掛ける、30~40代の「ぽっちゃりさん向け」D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)下着ブランド「Polun(ポルン)」が人気を集めている。2022年6月の初回販売時には、用意した数千枚(全体の数量)のうち、「ガードルショーツ」が20分で完売。「ワイヤーブラ」も3時間で完売した。顧客から支持を集める理由は、SNSを活用したユーザー巻き込み型の商品開発と販売戦略にある。
2022年6月に販売を開始したPolunは、フォロワー向けの先行販売を1回、一般販売を2回行うなど、徐々に生産・販売体制を確立してきた。販売2回目には用意した全商品、計数千枚が半日で完売。サイズと色展開を増やした3回目は、1回目と比較して1.3倍の売り上げになるなど、堅調に推移している。
Ameba内で「肌着」が人気の理由
Polunは、22年6月にサイバーエージェントのAmeba事業部が提供を開始した、「コマース・マーケティング協業プログラム」内のブロガーコラボ商品開発プロジェクト第1弾として始まった。これは、サイバーエージェントがAmebaで人気のブロガーと一緒にD2Cブランドを立ち上げ、商品開発からマーケティング活動までを全面支援するというものだ。特定の分野で活躍しているブロガーの専門性を生かした商品開発を行い、23年9月までに6ブランドの立ち上げを目指している。
Amebaは、月間で2200万人が来訪し、毎月550万件の記事が投稿されている。ブログ記事をきっかけにした商品購入も増えているといい、Ameba内の流通額は累計670億円を突破した(22年8月時点)。主婦層のユーザーが多いこともあり、ファッションやコスメなどの売れ行きが良いが、中でも「肌着は数あるジャンルの中でも人気がある」と、サイバーエージェントのメディア統括本部 Ameba事業本部シニアプロデューサー梅本拓馬氏は言う。
肌着に人気が集まる理由は、「ブログとの相性がいいから」だと同ブランドプロデューサーの加藤由佳氏は話す。肌着は、「着心地の良さ」や「ボディーラインがきれいに見えるか」など、機能性が重視されるファッション商材でもある。そのためInstagramなど他のSNSが得意とする「映え」よりも、「機能がどの程度優れているか」といった「情報」のニーズが高く、テキストや画像を使い、それらの情報を細やかに伝えられるブログは相性がいい。
その中で同社がD2Cブランドとして開発しようと目を付けたのが、体の大きな女性用の下着だ。「ぽっちゃりさん向けの下着は、見た目のかわいさとデザイン性、機能性、品質の高さ、これらをすべて満たしているものがなかなかないという課題があった」(加藤氏)。例えば大きいサイズの下着は花柄が異様に大きい、価格は安いが品質は良くないなどだ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー