ぺんてる(東京・中央)が2023年1月、Z世代やその次のα世代を狙ったシャープペンシル(シャープペン)と替え芯を立て続けに発売した。Z世代以降に顕著な「タイムパフォーマンス(タイパ)」意識の高さを踏まえ、ノック1回で書き続けられるシャープペン、芯が取り出しやすい替え芯ケースで仕掛ける。
「墨をすって文字を書いていたのが筆ペンに置き換わるなど、筆記具は時短というキーワードで進化してきた」と話すのは、ぺんてる製品戦略本部ブランド企画部部長の田島宏氏。各文具メーカーがさまざまな時短商品でシェアを競い合う中、文房具は技術が成熟し、商品の差別化がしにくくなっている。そんな中、ぺんてるは2023年1月、費やす時間に対して得られる成果や満足感を高める“タイパ”を軸にした商品2点を発売した。
1点目は、自動芯出し機構を搭載したシャープペン「オレンズ AT デュアルグリップタイプ」(以下、オレンズAT、税込み2200円、23年1月24日発売)。2点目が、13年ぶりのリブランドとなる替え芯「Pentel Ain(ぺんてるアイン)」(同220円、23年1月30日発売)だ。
シャープペンと替え芯をまとめて刷新したのは、メインターゲットの特性を調査した上でのこと。これら商品のメインターゲットは、中高生に加え、中学受験などを控える一部の小学生だ。23年時点でZ世代(1990年半ば~2010年初頭生まれ)の後期から、α世代(10年以降生まれ)に当たる。スマートフォンがあるのが当たり前で、いつでも大量の情報に触れられる世代だ。多くの情報を短時間で効率的に処理することに慣れているため、“タイパ”を重視する生活スタイルが染みついている。その特性を商品に組み込んだ。
実際、ぺんてるはコンセプトを作るにあたり、会社訪問に来る中高生を中心とするユーザーの意見を傾聴し、そこから典型的なユーザー像を示すペルソナを設定した。例えば、“日本の中学生男子”と“日本人中学生女子”の場合、「価格が高くても使いやすい商品は買う」「月のお小遣いは5000円程度」「友人と同じものを持ちたい」「失敗したくない(間違いないものを選びたい)」「SNSなどで購入前の調査を徹底的にする一方、低価格品にはそれほど時間をかけたくない」といった共通項が浮かび上がったという。
さらに替え芯に至っては、3年かけ、のべ300人のユーザーにヒアリング調査を実施。替え芯のケースから芯を取り出し、筆記するまでの行動を観察した。
Z世代やα世代の傾向を反映
こうして完成した新商品は、Z世代やα世代が好みそうな特徴を色濃く表している。
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