AI(人工知能)を使った英語学習アプリ「abceed(エービーシード)」が好調だ。個人、法人ともに利用者数が伸び、登録ユーザーは300万人超(2022年12月時点)、有料会員は5万人を突破(22年5月時点)した。人気の要因は、AIがユーザー一人ひとりのレベルに合わせて作る“パーソナライズ問題集”にある。個人に最適化された問題が提供されることで、成績の伸びを実感した利用者によるUGC(ユーザー生成コンテンツ)が増加。「abceedは神」といったツイートが多数投稿されるなど、ユーザーがユーザーを呼ぶ好循環によりサービスが拡大している。
「abceed」は、Globee(グロービー、東京・港)が提供する英語学習アプリ。600を超える市販の英語教材の中から、AIが自身のレベルにあった問題を提案してくれるというサービスだ。教材を1冊ごとに購入できる単品課金モデルの他、月額1650円(税込み、1年契約の場合)を支払うと200以上の教材を自在に利用できるサブスクリプションモデルもある。18年12月にサブスクリプションモデルを採用したところ、会員1人あたりの売り上げは10倍に増加したという。
22年3月の、アプリストア(App Store/Google Play ストア)の教育アプリ売り上げランキングで、1位を獲得(※モバイルデータ分析ツール「data.ai」調べ)するなど、競合ひしめくオンライン英語学習市場で堅調に拡大している。Globeeの幾嶋研三郎社長へのインタビューから、成長の要因を探った。
レベル診断テストで、AIが一人ひとりに適した問題を提案
abceedの利用者は幅広い。アプリが教科書に対応していることもあり中高生も多い。英語学習中、もしくはこれから英語学習に本腰を入れようと考えている社会人に加え、英語には生涯学習という要素もあることから、50~60代のユーザーも登録しているという。
abceedが幅広いユーザーから支持される最大の要因は、学習年数や進度に関わらず、豊富な教材を横断しAIが一人ひとりのレベルに最適化して作る“パーソナライズ問題集”にある。
abceedのアプリをダウンロードするとまず「無料レベル診断テスト」の受講を勧められる。テストの出題数は10問から、最短5分で回答できる簡単なものだが、TOEICを受験した場合のスコアをAIが予測して出す。このスコアを基に、一人ひとりに最適な問題をリコメンドする仕組みとなっている。これが、ユーザーごとに作られる“パーソナライズ問題集”の土台となる。
このパーソナライズ化により、学習効率を高められることがabceedの強みだと幾嶋氏は話す。例えばGlobeeが2万7283人の有料会員を対象にした独自調査によると、1日30分の学習を1カ月間続けると、TOEICや英検の点数が1カ月で平均96点向上するという(※算出は、TOEIC、英検の本番試験のスコアではなく、実際の試験と類似した設問を出題するオンライン模試の予測スコアに基づく)。これは「英語学習専門のコーチングスクールに通っているようなパフォーマンス」と幾嶋氏は説明する。
法人向けサービスも好調だ。富士通などの大手企業を含め、現在約200の法人(企業・学校等)が導入している。
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