日本は、米国とインドネシアに次ぐ世界3位の地熱資源保有国であることをご存じだろうか。その資源量は約2300万キロワット、うち国が推計する導入ポテンシャルは約1400万キロワット(原発14基分)。この市場に挑むのが、「業務スーパー」をフランチャイズ(FC)展開している神戸物産の創業者で、町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)を2016年に立ち上げた沼田昭二会長兼社長(68歳)である。なぜ沼田氏は地熱発電に目覚めたのか。
日本は“地熱資源大国”でありながら、地熱発電に対しいくつかの阻害要因、例えば国立公園や国定公園、温泉組合との兼ね合いなどが指摘されてきた。地熱発電の導入量は、世界10位にとどまる。そこで、2021年に国は地熱発電の促進策として自然公園法の緩和や温泉法の見直しを打ち出した。
背景にはGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組むうえで、再生可能エネルギー全体に占める比重こそ小さいが、地熱発電は比較的安定したベースロード電源になり得ることがある。国は2030年までに約60カ所だった地熱発電プラントを倍増し、発電量を既存の57万キロワットから最大155万キロワットまで拡大する計画を打ち出している。
業務スーパー流で業界の常識突き崩す
「同じ頭(発想)やから、出てくるものは変わらない」
そう語るのは、「業務スーパー」を展開する神戸物産の創業者で、地熱発電を手掛ける町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)の沼田昭二会長兼社長だ。業務スーパーで培ったアイデアやノウハウを、地熱発電での競争優位に応用する。まず挙げられるのは、スピードと投資回収期間の短縮に注目したことだ。
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