“快適すぎて動けなくなる魔法のソファ”のキャッチコピーでおなじみの「Yogibo(ヨギボー)」。新型コロナウイルス禍の“おうち需要”を受け、前期比76.8%増の168億円と売り上げを伸ばした2021年7月期に続き、22年7月期の売上高も、前期比26.6%増の212億円と好調だ。動物を商品訴求に起用したテレビCMや格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」の冠スポンサー協賛など、攻めのマーケティングで独自ポジションを築き上げている。
1頭の馬にYogiboを渡してみたところ、ごろりと横たわり人間以上にリラックスした表情を見せる――。ディープインパクトのライバルでもあった元競走馬のアドマイヤジャパンが、Yogiboに心と体を許す瞬間をとらえた動画がSNS上で大きな話題となった。反響を受けて、アドマイヤジャパンと1000万円で広告出演契約を締結。2022年8月から正式に新CM「アドマイヤジャパン with Yogibo」の放映をスタートした。それまでもYogiboを愛用するタレントなどが使用方法やエピソードを紹介するCMシリーズを放映してきたが、動物が商品を“お薦め”するまさかの展開が話題を呼んだ。
グローバルでナンバーワンの売り上げ実績、日本の販売代理店が米国本社からYogiboを買収
こうした独自のマーケティング戦略を武器に、日本でYogiboを広めてきたのが、22年1月に米国本社からYogibo事業を買収(21年12月11日に持ち分譲渡契約を締結、同30日に100%取得が完了)したと発表したYogibo(大阪市、22年8月付けで社名変更。以前の社名はウェブシャーク)だ。
前身のウェブシャークは1996年にブランド古着と雑貨の店「FURIMAYA」を大阪に創業。その後、IT企業に転身しアフィリエイトサービスやドロップシッピング(在庫を持たずに、商品が売れた後の発送などは、別の拠点や委託業者に依頼する販売方法)など、さまざまなEC関連事業を展開してきた。2014年11月からは、日本総代理店としてYogiboの販売を開始。以後順調に事業を拡大し、21年12月に先方からの打診を受け、米Yogibo買収に至った。
Yogibo取締役の岸村大安氏は、「米Yogiboは合同会社で株主は共同創業者の3人。彼らはもともと上場する意思はなく、いずれ売却するという話は何年も前から聞いていた。社長の木村誠司氏も『そのときは最初に教えてほしい』とあらかじめ伝えてあった。その約束は果たされ経営陣から21年7月に売却の打診があった。米Yogiboの業績は好調で申し分なく、ゆくゆく海外展開したいと考えていた当社にもうってつけの話であり買収に至った」と説明する。
現在、Yogiboは米国、日本、カナダ、韓国、台湾、タイ、シンガポール、オランダの世界で8の国と地域で販売している。そのうち売り上げ実績1位は日本。グローバル全体の構成比で6割を占めるという。
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