サントリーが2022年夏から数量限定で先行販売した「ビアボール」。アルコール度数16%のビールを炭酸水で割るという新しい飲用スタイルが話題を呼び、好調なスタートを切った。さらに勢いを付けるため、サントリーは22年11月からテレビCMを放映。下北沢のネオ居酒屋を舞台に、楽しそうな雰囲気を演出し、ターゲット層である20~40代前半をひき付けた。
黒島結菜など30歳前後の若者を起用
「すいませ~ん、ビアボール1つ」――。下北沢の居酒屋に集まった飲み友達の3人。そのうち1人の女性が店員に「ビアボール」を注文すると、同席していた2人の男性が聞いたこともない単語に反応する。
「何それ? ビール? ハイボール? ビアボールって何?」
2人が興味津々な様子で待っていると、店員が彼らのテーブルにビアボールを持って来る。お盆の上には氷が入った空のグラス、炭酸水、そしてビアボールと書かれた小瓶が置かれている。サントリーの新商品「ビアボール」のCMのワンシーンだ。
ビアボールとは、サントリーが2022年秋に全国販売した新しい瓶ビールのこと。最大の特徴は独自の醸造技術を駆使して、アルコール度数16%に仕上げた点。麦芽を凝縮した濃い味わいを実現し、氷を入れても、炭酸水で割っても、ビールの味がしっかり感じられるようになっている。
この商品特徴を生かし、サントリーは「ビールの炭酸水割り」という、従来のビールでは考えられなかった飲み方を推奨する。ハイボールを作るのと同じ要領で、氷をぎっしり入れたグラスに炭酸水3に対してビアボール1の割合で入れ、マドラーで一混ぜする。
サントリーは「ビールなのにアルコールの濃さが調節できる」「氷で調節することで冷たさをキープしてゆっくり飲める」など、ビアボールで飲用スタイルの幅を広げ、ビールに抵抗感のある若年層や、一度ビールを離れた層の取り込みを狙う。ターゲット層は20~40代前半の比較的若い「MZ世代」に据えた。
しかしユーザー視点に立つと、既存のビールとは一線を画す商品のため、「ビアボールとは何なのか」「どのように飲むのか」がイメージしにくいといった懸念もある。
そこでサントリーは22年11月から、「ビアボールってなに?」編と「ビアボールつくってみる?」編の2本のテレビCMを全国公開。キャラクターにはビアボールのターゲット層と重なる、女優の黒島結菜、俳優の柄本時生、渡邊圭祐を起用。3人が居酒屋に集まり、ビアボールを堪能する様子を演出した。
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