ブランディング活動を表彰する「Japan Branding Awards」の2022年度の最高賞「Best of the Best」を受賞した味の素。同社はブランディングの役割をどう捉え、コーポレートブランドと商品ブランドの関係をどう定義し、企業価値の向上に生かしているのか。藤江太郎社長に聞いた。
――ブランディングという言葉がさまざまな意味で使われており、その役割も変わってきている。ブランディングの役割をどう捉えているか。
味の素 藤江太郎社長(以下、藤江) ブランドとは、頭や心の中にある良いイメージ、共感の集合体だと捉えている。
当社は「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」というパーパスを持っており、パーパスの実現に向けた社員や関係者の皆さんの熱意がブランディングを進めていく上での原動力になる。それによってブランドの価値を飛躍的に向上させ続けることができ、その結果が社員や関係者の皆さんの共感をさらに高めていくという好循環につながる。ブランディングを進めていくことで多くの方の関係がWin-Winになっていく、そういう好循環をしっかりと回し続けることがとても大事だと思っている。
――データ化によってビジネスの結果や途中経過がどんどん見える化される一方、ブランディングは数値として捉えづらい部分もある。故に、数値的な結果が重視されがちだと思うが、味の素ではブランディング活動を機能させるために何をしているか。
藤江 ブランドは心の中に蓄積されていくイメージなので、ブランディングも定性的に評価されることが多い。それを定量的に数値化し、ブランド価値が上がっているのか、あまり変わらないのか、あるいは下がっているのかを見ていくことがとても重要。ブランド価値の評価指標をしっかりと定め、どういう取り組みが評価につながるのかを見ている。
――消費財メーカーの商品ブランドの役割は分かりやすいが、コーポレートブランドが消費者に対してどのような影響を与えると考えているか。コーポレートブランドと商品ブランドはどのような関係にあるのか。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。