Z世代のSNS消費が大きく変化している。従来は爆発的な話題=バズによって起こる一過性型が中心だったが、「タイパ(タイムパフォーマンス)」「リスク回避」重視の消費へと移り変わった。「バズ+ロングセラー」が新たなトレンドだ。アイスタイルが化粧品口コミサイト「@cosme」の口コミを基に、美容品の人気商品をランキング化した「@cosmeベストコスメアワード」(以下、ベスコス)の傾向から浮かび上がった「2つの本音」が、消費者心理の変化に大きな影響を及ぼしている。
毎年12月になると、SNSで美容好きを中心に「ベスコス」という単語が飛び交う。アイスタイルが@cosmeの口コミを基に、美容品の人気商品をランキング化した@cosmeベストコスメアワードが普及して生まれた言葉だ。
アイスタイルがベスコスを選定するにあたって、判断材料とするのは@cosmeに寄せられた口コミ。2022年の口コミ数は約122万件(編集部注:集計期間は21年11月1日から22年10月31日)で、過去最多だったという。SNSでは、毎年ベスコスが発表されると同時に拡散され「ベスコス買い」という現象が起きる。さらに店頭では、ベスコスを受賞したロゴのシールを貼って商品を販売すると、売り上げが3~4倍になることもあるほど注目されているアワードだ。
総合大賞の1位を受賞したのは、花王の化粧品ブランド「ケイト」の口紅「リップモンスター」だ。この商品はまさに、SNSで話題になって売れる『バズ消費』の象徴ともいえる商品。しかし一過性で終わらず、発売から1年が経過した今でも話題になり続けている。通常よりも小さいサイズや限定色、マットな質感のタイプなど、バリエーションを豊富に提供することで、飽きさせない仕掛けをしている」とアイスタイル@cosmeリサーチプランナーの原田彩子氏はヒットの理由を説明する。
▼関連記事 逆風下の口紅で“怪物ヒット” 花王とカネボウの融合が生んだ カネボウの口紅が350万本ヒット 「ラスボス」の色とは近年の化粧品のマーケティングにおける最重要キーワードは、SNSで話題になった商品が一過性のヒットで終わらない「バズ+ロングセラー」という現象だと、原田氏と@cosme リサーチプランナーの西原羽衣子氏は口をそろえる。
消費者調査でも「タイパ」「リスク回避」重視が明確に
@cosmeの利用者向けアンケートによると、SNSで話題になった商品を買いたい理由は「情報収集の手間が省ける」「誰かのお墨付きという安心感がある」「失敗が少ないと思う」がそれぞれ5割前後となっていた。その一方で、「流行やトレンドに乗りたい」と回答した人の割合は約3割にとどまったという。SNSでの話題は一過性の消費から、「タイパ」や「リスク回避」を意識した消費の手段へと変化したことがうかがえる。
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