動画配信サービス「U-NEXT(ユーネクスト)」が、右肩上がりの成長を続けている。有料会員数は2022年8月末時点で前年同月比115%となり、その数は275万人を突破した。成長を加速させている1つの要因にライブ配信がある。中でも、格闘技コンテンツの配信からは同社のコアファンとの向き合い方が見えてくる。

U-NEXTは右肩上がりの成長を続けている。ライブ配信に注力しており、その1つとして格闘技コンテンツを積極的に配信している
動画配信サービス「U-NEXT(ユーネクスト)」は、右肩上がりの成長を続けている。ライブ配信に注力しており、その1つとして格闘技コンテンツを積極的に配信している

 コンテンツにおける地上波独占の時代が終わりつつある。その1つの象徴的な例が、現在放送中のサッカーワールドカップだろう。従来、NHKや民放が放送してきた中で、22年にはインターネットテレビ局「ABEMA(アベマ)」が「FIFAワールドカップカタール2022」を全試合無料で生中継することが大きな話題となったのは周知の通りだ。

 スポーツ配信は過渡期にある。特にその傾向が顕著なのが、格闘技だ。

 22年6月19日。「世紀の一戦」と目された、那須川天心vs武尊のキックボクシングマッチをメインイベントに据えた「THE MATCH 2022」が行われた。当初、フジテレビでの地上波放送が決定していたが、契約上の問題から急転直下で白紙になった。

 そこで同日、独占生中継で放送されたプラットフォームがABEMAだった。有料配信ライブとして、基本販売価格5500円(税込み、以下同)で配信。ABEMAを運営するサイバーエージェントが大会翌日に開いた記者会見では、PPV(ペイ・パー・ビュー)チケットが50万件以上売れたことが発表された。大会運営メンバーの1人である、総合格闘技団体「RIZIN」の榊原信行代表は、「地上波がなくなったことで一気に時代が動いた」と総括した。

 ボクシングにしても、同様の傾向だ。五輪金メダリストの村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキンや、井上尚弥vsノニト・ドネアといった、ビッグカードがアマゾンプライムビデオで独占生中継された。直近では22年12月13日、井上尚弥とポール・バトラーによる世界タイトル戦がdTVでの独占生中継が決定している。

 まさしく群雄割拠の様相を呈する格闘技配信。そんな中、存在感を強めているのがU-NEXTだ。同サービスは、RIZIN、米国大手総合格闘技興行「BELLATOR(ベラトール)」、ヨーロッパの主力キックボクシング興行「GLORY(グローリー)」、世界プロボクシング戦「デオンテイ・ワイルダーvsロバート・ヘレニウス」など、続々と格闘技コンテンツを投入している。

日本発、U-NEXTが掲げる戦略

 U-NEXTは日本生まれの動画配信サービス。07年にUSENが、前身となる「GyaO NEXT」を立ち上げた。09年に現在の名称、U-NEXTに変更した。価格改定をする中で、14年から現在の月額1990円(税抜き価格)に。映像コンテンツだけでなく、電子書籍や音楽など、あらゆるエンターテインメントを取りそろえている。月額会員には、1ポイント1円として、作品のレンタルや購入などに使えるポイントを毎月1200円分付与している。

 標準画質の「ベーシックプラン」を月額990円で展開する「Netflix(ネットフリックス)」や、月額500円のアマゾンプライムビデオと比較すると高額な印象を受けるが、U-NEXTは現在好調だ。22年8月末時点で、有料会員数が前年同月比115%に。有料会員数は275万人を突破した。

 U-NEXT取締役COOの本多利彦氏は次のように分析する。「新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことによって、動画配信サービス全体が伸びた。最近は音楽ライブやスポーツ観戦などリアルのエンターテインメントも復活しつつある中、停滞気味のサービスもあるようだが、U-NEXTは右肩上がりに成長している」

 「これまで力を入れてきた戦略にやっと気づいてもらえて、『U-NEXTには見たいものがある』と利用者に感じていただけるようになった」と本多氏は言う。

U-NEXT取締役COOの本多利彦氏
U-NEXT取締役COOの本多利彦氏 2003年よりウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社テレビジョン部にて、放送と初期の配信ビジネスに従事。06年にワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社(現:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社)に入社後、ワーナーの国際戦略に伴い、定額動画配信ビジネスを担当。16年には、20世紀フォックスホームエンターテイメント(Los Angeles/CA)アジア太平洋(APAC)グループにて、Head of Digital Distributionとしてデジタルライセンスビジネスを統括。19年9月より現職

 U-NEXTは戦略の柱として、「オールカバレッジ戦略」を掲げる。「レンタルビデオ店の最終形」を目指し、豊富な見放題作品を用意している。22年11月時点で、映画やドラマなどの動画作品はレンタルも含めて27万本、漫画や書籍などの電子書籍は84万冊、雑誌は170誌以上をそろえる。視聴数の少ないものも切り捨てずに基本在庫として確保したり、日本に配信権がない作品は都度海外の権利元を探し出して直接調達したりするなど工夫している。

 それに加えて重視するのが、「ONLY ON戦略」だ。いわゆる、U-NEXT独占配信の作品を取りそろえるというもの。21年に興行収入38億円のヒットとなった映画『花束みたいな恋をした』の配信は、まさにその典型例だ。

 これらの戦略を掲げつつ右肩上がりの成長を続けながらも、U-NEXTに油断はない。「動画配信サービスの成長は、デジタルにおけるエンターテインメントの需要を先食いした側面もある。利用者のライフスタイルに合わせてサービスを進化させていく必要がある」(本多氏)

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