2010年代から始まり、過熱気味だったサウナブームも、新型コロナウイルス禍により沈静傾向。だが、ヘビーユーザーのサウナ熱はむしろ高まっているという。そんな中、21年11月に開設されたサウナ物件特化型ポータルサイト「サウナ不動産」のLINE登録者が初日だけで600人を超えるなど、注目を集めている。その裏にはライフスタイルの多様化に不動産業界が対応できていない現実があった。
サウナーのニーズに不動産業界が対応しきれていない?
日本サウナ・温冷浴総合研究所(以下、日本サウナ総研)の調査によると、コロナ禍の影響により、サウナ愛好者(サウナ―)人口は2020年の約2583万人から1年間で約1000万人以上も減少。一方、月に4回以上サウナに入る「ヘビーサウナー」に限ると、「サウナに行く回数は変わらない」「サウナに行く回数が増えた」が「サウナに行く回数が減った」を上回っているというデータもある。
日本サウナ総研による「ヘビーサウナー」の基準は、「月に4回以上サウナに入る人」。しかし、「その中にはほぼ毎日のようにサウナに行く人も含まれており、サウナに通うだけでは足りず、好みのサウナが近くにある物件やサウナ付きの物件を求め始めている。しかしながら、そういったニーズの高まりに不動産業界が対応できていないのが現状」と語るのは、不動産会社KIZUNA FACTORY(東京・新宿)代表で、自身もサウナ付きの物件に住むほどのヘビーサウナーである稲垣慶州氏。
サイト開設当日にLINE登録者が600人超え
稲垣氏はそうした状況を変えるべく、サウナ文化に造詣が深く、SNSマーケティング事業やメディア運用の経験が豊富なENABLE(東京・豊島)代表の矢木悠太郎氏と協業し、21年11月にポータルサイト「サウナ不動産」を立ち上げた。
サウナ不動産はサイトを通じてLINE登録をすると、「サウナ付き賃貸物件」「サウナ付き売買物件」「サウナ施設周辺物件」情報が送られる仕組み。また「中古物件の購入と同時に家庭用サウナを購入したい」「今の自宅や別荘などにサウナを取り付けたい」「サウナ物件を売りに出したい」といった内容もLINEで相談できる。
稲垣氏がサウナ不動産を立ち上げようと考え始めたのが、21年9月ごろ。約2カ月で商標登録してサイトを開設した。特に何かを仕掛けたわけではなく、PRTIMESでリリースを配信しただけだったが、その日のうちに複数のウェブメディアで紹介され、初日のLINEの登録者が600人を超えた。あまりの問い合わせの多さに、一時的に新規の受け付けを止めたほどだ。「サウナ不動産というネーミングでなければ、ここまでメディアに取り上げてもらえなかったと思う」と稲垣氏は振り返る。
生活様式の変化で不動産情報のニーズが変わった
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