近年、急成長を遂げ、2021年には株式時価総額でH&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)を超えたことが話題を呼んだ、カナダのルルレモン・アスレティカ(以下、ルルレモン)。スポーツウエアを街着として着る「アスレジャー」の先駆者であり、コミュニティー型ブランドのお手本として知られる。22年11月25日には、日本で8店舗目となる青山ストアをオープンした。なぜルルレモンは支持されるのか。アジア太平洋地域シニアバイスプレジデントのガレス・ポープ氏にブランド戦略を聞いた。

ヨガウエアなどで急成長するルルレモン(写真はルルレモン六本木ヒルズ店)
ヨガウエアなどで急成長するルルレモン(写真はルルレモン六本木ヒルズ店)

 デジタル化やサステナビリティー(持続可能性)の重要性の台頭、そして、新型コロナウイルス禍などにより、市場環境も消費者のライフスタイルや意識も大きく変化している。今、感じている潮流は何かという問いに、ルルレモンのガレス・ポープ氏は「『ウェルネス』や『ウェルビーイング』への関心の高まりだ。フィジカル、肉体的に健康でありたいということはもちろんだが、メンタル、精神面でも健康であることが、ますます大事な価値観になっている」と答えた。

 それを裏付けるように、米国、ブラジル、中国、日本、英国、ドイツの約7500人を対象にしたマッキンゼー・アンド・カンパニーの「ウェルネスの未来調査」では、実に79%が「ウェルネスは重要事項である」と考えており、42%が「ウェルネスは最優先事項である」と回答している。また、サステナビリティーにも通じることだが、「今まで人々はファストファッションへの関心が高かったが、最近は、『品質』や『ロングアクティビティー(どれだけ長持ちするのか)』に関心が向いている」とポープ氏は話す。

 この2つが、特にルルレモンの強みが発揮できる部分であり、実際、新型コロナウイルス禍の逆風の中でも同社は成長を果たしている。コロナ前の19年度の売上高が39億7900万ドル(前期比21%増)だったのに対し、20年度は44億100万ドル(同10%増)、21年度は前期比で42%伸び、62億5600万ドルとなった。コロナ禍から早期に再起動した北米を中心に、21年はリアル店舗の売上高が70%増の28億2100万ドルへと回復、ECも22%増の27億7700万ドルと伸長しており、店舗数も世界で600店舗を超えた。

 そんなルルレモンは現在、26年までに21年度の売上高の2倍に当たる125億ドルを目指す中期成長戦略「Power of Three × 2」の真っただ中にある。この中期成長戦略における3本柱は、「製品イノベーション」「ゲスト体験」「マーケット拡大」だ。

ガレス・ポープ 氏
ルルレモン・アスレティカ アジア太平洋地域シニアバイスプレジデント
ナイキで12年間勤務。ナイキ・デジタル・コマースの北米ゼネラルマネジャーや、ナイキ・アクション・スポーツの欧州・中東・アフリカ地域ゼネラルマネジャーを歴任。マッキンゼー・アンド・カンパニー、コンバースを経て2017年にルルレモン・アスレティカへ入社。コロンビア大学でMBA(経営学修士)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学士号を取得。情熱的なアスリートで、ジュニア時代には国際レベルでテニスとバスケットボールをプレー。最近では自転車、登山、そしてヨガを楽しむ

店舗スタッフを「エデュケーター」と呼ぶワケ

 ポープ氏が、コロナ禍を経て改めてルルレモンのユニークポイントであり、強みだと感じたのが、「コミュニティー型ブランドである点」と言う。プロダクトが良いのは当たり前の時代。今は「モノからコトへ」「体験型マーケティング」「コミュニティー型ブランド」が求められる。LTV(顧客生涯価値)が高い長期的な関係性を顧客と築いていくことが、成長はもちろん、存続していくために重要な要素になっている。ルルレモンはまさにその先駆者であり、学ぶべき点が多い。

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