2023年の発売を予定しているSUBARU(スバル)のエントリーSUV(多目的スポーツ車)の役目を担う新型「クロストレック」のプロトタイプがお披露目された。その名に聞き覚えがないかもしれないが、実は日本でも活躍するSUBARU車の一つ。現在「SUBARU XV」の名前で販売されており、今回の新型から車名をグローバルで統一することが決定している。実際に試乗し、進化のほどをチェックした。

2023年発売予定のSUBARUの新型SUV「クロストレック」(写真はプロトタイプ、以下同)
2023年発売予定のSUBARUの新型SUV「クロストレック」(写真はプロトタイプ、以下同)
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次期インプレッサより先行発表された理由

 SUBARUの新型「クロストレック」は、5ドアハッチバックスタイルを持つコンパクトクロスオーバーSUV。これまではインプレッサスポーツ(5ドアハッチバック)をベースにSUVに仕立てられてきた車で、このインプレッサシリーズに組み入れられた「インプレッサXV」を含めると、新型は4世代目となる。

 歴代モデルはインプレッサの開発が先行し、それをベースに「SUBARU XV」が生み出されるという手法が取られてきた。しかし、今回のクロストレックは、次期型インプレッサよりも先行して発表された。インプレッサシリーズも継続される見込みだが、これまでと立場が逆転している。その背景には、クロストレックの世界販売での躍進がある。インプレッサとクロストレックを合算した販売台数では、今やクロストレックが全体の7割を超え、主力となっているのだ。また、世界市場においてもSUVの販売が主力となった現在、価格を抑え、若年層も狙えるコンパクトSUVの意義は大きくなっている。それがクロストレックの独自性を高める開発体制へとつながっている。

クロストレックのリアビュー。歴代モデル共に5ドアハッチバックスタイルのコンパクトSUVだ
クロストレックのリアビュー。歴代モデル共に5ドアハッチバックスタイルのコンパクトSUVだ
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 開発を指揮したSUBARU商品企画本部の毛塚紹一郎プロジェクトゼネラルマネージャーは、「コンパクトSUVやミッドサイズSUV市場が飽和してくる中、個性的なSUVが乱立している。そこでクロストレックならではの独自性を追求し、開発を進めた」と話す。日本で人気のトヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス」や「カローラクロス」などは、街乗り中心のクロスオーバーSUVだが、ビジュアルは本格SUVに近いスタイルに仕上げられている。一方、クロストレックは5ドアハッチバックスタイルを踏襲しているが、その姿を個性の一つとして捉えているわけだ。

開発を担当したSUBARU商品企画本部の毛塚プロジェクトゼネラルマネージャー
開発を担当したSUBARU商品企画本部の毛塚プロジェクトゼネラルマネージャー
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 そこでフロントマスクのデザインは、よりシャープに仕上げ、力強い印象を強めた。その半面、ルーフデザインをなだらかに傾斜させることで、走りの良さを連想させるスポーティーなデザインとなっている。

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