米Twitter CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏は現地時間の2022年11月3日遅く、Twitter全社に人員削減を伝えるメールを送った。7500人の従業員のうち半数が対象となり、Twitter Japan(東京・中央)では広報部門ほか、複数の部署でレイオフが実施されたとみられる。マスク氏の買収後、大手広告主がTwitterへの出稿を停止するなど、各社のマーケティング戦略にも大きな変化が起こっている。こうした中、日本企業は今後どう対応するのか。マーケティング戦略について支援会社に聞いた。

イーロン・マスク氏の経営改革が始動した(写真/Shutterstock)
イーロン・マスク氏の経営改革が始動した(写真/Shutterstock)

 「いつ何が起こるか分からないので、イーロン・マスク氏のツイートと広告管理画面だけはしっかり見ておいて」。アナグラムの阿部圭司社長は、2022年11月5日、社員にこう伝えた。アナグラムはTwitterの認定広告代理店だ。マスク氏の経営改革が始まって以降も変わらず管理画面で広告主の出稿を継続している。とはいえ、「イーロン・マスクのことだから突然広告の仕様に変更があるかもしれない。どんな可能性もゼロではないため、あらゆるケースに備えるように」と伝えている。

 22年10月27日のTwitter買収完了から1週間がたった11月4日、マスク氏は「残念ながら1日あたり400万ドル(約6億円)以上の損失を出している以上は(人員削減は)避けられない」とツイート。Twitterの安全性を確保するSafety & Integrity部門のヨエル・ロス氏によると、全社員の50%が対象になったという(社員数は21年末時点で約7500人)。人員削減は日本国内にも及び、広報部門ほか複数の部署が対象になったとみられる。

 経営改革が進む中、買収後から注目されるのが、アウディ・アメリカ、独フォルクスワーゲン、米ファイザーなど大手広告主が広告の出稿を一時停止したという報道だ。マスク氏は4日、「Twitterはコンテンツモデレーション(不適切な投稿の管理)で何も変わっておらず、活動家をなだめるためにできる限りのことをしたにもかかわらず、活動家グループが広告主に圧力をかけたため、Twitterの収益は大幅に減った」とツイートした。

広告による収益が減ったとするマスク氏のツイート
広告による収益が減ったとするマスク氏のツイート

 活動家グループとは、米フリープレスなど50以上の市民団体だ。市民団体は22年11月1日、Twitterに公開書簡を掲載すると、主要な広告主に向けて、マスク氏が投稿管理を含め安全性を損なう計画を実行した場合、全世界のTwitterで広告出稿を停止するよう求めている。5日には、さらに60以上の団体がTwitterの9割の収益を占める広告主に向け、出稿停止を求めるとした。

 こうした事態に及んだのは、Twitterの買収を提案するにあたりマスク氏が「Twitterは世界の言論の自由の基盤になり得るが、今のままではその責務を果たせない」と述べたことが大きい。22年4月26日にはTwitterで「単に言論の自由が法に一致すると言っているだけだ。法をはるかに超えた検閲に反対する」と投稿。これが人権などにかかわる問題投稿を横行させるのではないかという懸念を増大させていた。

 これまで、Twitterの収入の9割は広告によるものだった。マスク氏自身も買収が完了した22年10月27日以降、広告主への配慮から安心して広告を出せるプラットフォームにするというツイートを続けている。「Twitterは嘘にまみれた地獄のような無法地帯にはならない」「Twitterユーザーのニーズにできるだけ合った広告を表示することが重要だ」「皆さまのブランドを強化し企業を成長させ尊敬される広告プラットフォームでありたい」──。

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 だが、今後は、広告収益だけに頼るTwitterのビジネスモデルが大きく変わっていきそうだ。

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