UGC(ユーザー生成コンテンツ)は消費者の間でどのような役割を果たしているのか。その実態を調査すべく、デジタルマーケティング支援のアライドアーキテクツは、男女1100人を対象に「UGCに対する意識調査」を実施した。そこから浮き彫りになったのは、UGCが消費者の購買行動に大きく影響している実態だ。調査を基に、購買に結び付くUGCを引き出していく際のポイントを、同社取締役兼CPO(最高製品責任者)の村岡弥真人氏に聞いた。

UGCは消費者の間でどのような役割を果たしているのか。調査を基に、その実態を見ていこう(写真/Shutterstock)
UGCは消費者の間でどのような役割を果たしているのか。調査を基に、その実態を見ていこう(写真/Shutterstock)

 UGCは、購買を後押しする――。どうやら、それは幻想ではなさそうだ。アライドアーキテクツが10~60代の男女1100人を対象に行ったインターネットリサーチ「生活者のUGCに対する意識調査 2022」では、こんな結果が示された。「商品・サービスの購入時に、UGCを信頼するか」と尋ねたところ、実に全体で64.6%がUGCを信頼すると回答した。

調査結果その1
「⽣活者のUGCに対する意識調査 2022」にて、「商品・サービスの購入時に、UGCを信頼するか」と尋ねたところ、全体で64.6%がUGCを信頼すると回答した。「Letro」はアライドアーキテクツが提供するUGC活⽤ツール(出所:アライドアーキテクツ)

 性別や年齢で見てみると、女性全体と、男女問わず30代までの年齢層が特にUGCへの信頼度が高いことが分かった。女性は69.1%と、男性の62.1%を上回る。年代別で見ると、n数が少ない点を考慮する必要はあるが、40代で65.5%、30代で69.9%、20代で73.9%、10代で100%と、年齢が若返るにつれてUGCへの信頼度が高まる傾向が見られた。

調査結果、性別・年代別
(出所:アライドアーキテクツ)

 この調査結果について、アライドアーキテクツ取締役兼CPOの村岡弥真人氏は、「『Letro』(同社で提供するUGC活用ツール)での支援を通じて、(企業も消費者も)年々明らかにUGCに反応していると感じていた。その実感と近い結果だ」と語る。

 21年6月に本誌の特集でも紹介したように、UGCのマーケティングへの活用は加速している。TwitterやInstagramなどSNS(交流サイト)に上がっている消費者の投稿の中から、企業にとってめぼしいものを見いだし、消費者の許諾を取った上で販促やブランディングに役立てる事例は多数ある。

 UGCが注目を集めているのは、企業目線でない親しみやすさがあり、商品を生活シーンにどのように取り入れていけるかを消費者が想像しやすく、購買に結び付きやすいというメリットがあるからだ。「これまでも、誰かに薦められてものを買ったという経験は誰にでもあったはず。それがデジタル上で行われているのがUGCだ」(村岡氏)

 その一方で、UGCの信頼度が高まっているのは、相対的な結果でもあるという見方もできる。「UGC自体の力が上がったというより、(商品やサービスの)価値を伝える他の手段の影響力が下がってきた実態もあるのではないか」と村岡氏はみる。

 「ここ10年、デジタル技術や広告が進化している。認知広告など企業がお金を払って価値を伝えていく流れに拍車がかかったが、顧客視点に欠ける広告は消費者に見抜かれ、広告への嫌悪感も上がっている」(村岡氏)。特に22年は、TikTokのステルスマーケティング問題やスシローの「おとり広告」など、消費者からの信頼を損ねる事案が相次いでいたことも記憶に新しい。

 D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)の台頭など、多くのブランドが乱立している背景もある。「ブランドが細分化して差別化が難しくなっている中、消費者が企業発信のメッセージを受け取っても、その額面通りの価値を感じてもらうのは難しいだろう」(村岡氏)

 YouTuberやインフルエンサーなど、個人の発信が力を持つ流れも見逃せない。「企業発信のメッセージを100%信頼しちゃだめだ、企業発信とは無関係の人が語っている体験はしっかり見るべきだと消費者は感じている」(村岡氏)。こうした背景があり、UGCの信頼度が結果として高まっているわけだ。

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