LINE専門のマーケティング支援会社DOTZ(ダッツ、東京・渋谷)は、2022年11月1日、飲食店向けLINE自動運用ツール「Ziinie for Restaurant(以下、Ziinie)」のサービス提供を開始した。来店者へのメッセージ配信から効果検証までが自動運用される、このツール。新型コロナウイルス禍以降、店舗の人員不足に悩む飲食店を救う一手となるか。

飲食店へのリピート来店を促すLINE自動運用ツール「Ziinie」がサービス開始された
飲食店へのリピート来店を促すLINE自動運用ツール「Ziinie」がサービス開始された
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 新型コロナウイルス感染症の拡大により大打撃を受けた外食産業。コロナ禍前の水準まで回復するには、まだ道半ばだ。とはいえ、外出自粛の風潮が徐々にやわらぎ、街に人が戻ってきた。

 そんな中、飲食店を悩ませている問題が、スタッフの人員不足だ。さらに、SNSの普及などにより飲食店を探すツールが多様化した結果、食べログやぐるなびなど大手飲食店情報サイトの集客力が相対的に弱まり、集客コストが悪化している。人手不足で集客にまで人員が割けないこと、また集客効果がコストに見合わない状況下で、飲食店としては新規顧客の獲得もさることながら、一度来店した客に継続的な利用を促すことが肝になってくる。

 こうした背景を受け、 LINE専門のマーケティング支援会社DOTZは、2022年11月1日、飲食店向けLINE自動運用ツール「Ziinie」のサービス提供を開始した。Ziinieは飲食店のスタンプカードをLINEミニアプリ上で提供するサービスだ。さらに飲食店がLINE公式アカウントから送るメッセージを自動で作成。効果的に来店者とコミュニケーションを取ることで、継続来店を促進する。

 そもそも、なぜ継続来店施策として、スタンプカードなのか。「ある調査では、7割弱の人が『スタンプカードを持っていることを理由に飲食店に行くことがある』と回答している」とDOTZ社長の稲益仁氏は話す。しかし最近では、スマホ決済が普及したためスタンプカードが入った財布を持ち歩かない人もいる。そのため自社独自のネーティブアプリにスタンプカード機能を付けている飲食店もあるが、ネーティブアプリはインストールまでのハードルが高く、インストールしてからも会員登録など煩雑な手続きが発生し、スタンプカード機能を利用するまでに至らないこともある。

 一方LINEミニアプリは、LINEに登録している人なら誰でも利用できるため、客に新たなアプリをインストールしてもらう必要がない。インストールのハードルがないぶん、ロイヤルティーがそこまで高くない客にも情報を届けられる。さらに、アプリを削除される心配もない。国内の月間利用者数9200万人というコミュニケーションインフラに載せるからこそのアドバンテージだ。

 Ziinie導入後に飲食店側が行うことは、客がLINE上のスタンプカードを押す際に読み取るQRコードの印刷のみ。適切なタイミングでのメッセージ配信から、リピーター数やアカウントブロック率などのデータ可視化まで、導入後のすべての運用工程が自動で行われる。集客施策にまで人員を割けない、LINEの運用方法が分からない、といった飲食店でも導入しやすい。

 導入飲食店はスタンプカードのデザインをカスタマイズでき、テンプレートに情報を打ち込んだりするだけで、キャンペーンや新メニュー告知といったメッセージを好きなタイミングで配信することもできる。

来店客の行動に合わせたメッセージ配信

 Ziinieは、飲食店をジャンルや価格帯などでセグメントして、メッセージ内容の出し分けをしている。例えば、居酒屋、カフェ、ラーメン店、さらには居酒屋の中でも客単価が5000円ほどの店なのか、1万円ほどなのかといった具合だ。そうしてセグメンテーションしたうえで、グループごとに配信内容を作成している。

 リピーター獲得のためには、効果的なコミュニケーションが必要だ。それを自動化するZiinieには、配信シナリオやクリエイティブなど随所に工夫が見られる。まずは、配信シナリオの設計から見ていこう。

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