「CHEESE WONDER(チーズワンダー)」は、EC(電子商取引)のみで販売されるチーズケーキブランド。2021年2月の発売以来、毎週金曜日と土曜日の販売日には、売り出し開始から2分で完売が続くほどの熱狂を生み出している。その熱狂度合いは、販売元のユートピアアグリカルチャー(北海道日高町、以下UA社)が実施した、商品の推奨度を測る指標として用いられるNPS(ネット・プロモーター・スコア)で、+50~60ptという好結果にも反映されている。新興のチーズケーキブランドに人気が集まる理由を、代表の長沼真太郎氏に聞いた。

「CHEESE WONDER(チーズワンダー)」を販売しているユートピアアグリカルチャーの代表である長沼真太郎氏。背景に映っているのは、同社が保有している牧場だ。ここでとれた卵や牛乳から、チーズワンダーを作っている
「CHEESE WONDER(チーズワンダー)」を販売しているユートピアアグリカルチャーの代表である長沼真太郎氏。背景に映っているのは、同社が保有している牧場だ。ここでとれた卵や牛乳から、チーズワンダーを作っている

 「全然買えない」「買うのに半年かかった」――。「チーズワンダー」が販売される金曜日・土曜日の午後8時半には、そんなツイートがTwitterに投下される。売り出すたびに2、3分で完売することから“幻のチーズケーキ”とも呼ばれるチーズワンダーは、人気チーズケーキブランド「BAKE CHEESE TART(ベイク チーズ タルト)」を販売するベイク(東京・港)の創業者、長沼真太郎氏が2021年に立ち上げたブランドだ。商品の発売を知らせるプレスリリースが配信された日には、ウェブメディアで配信された記事がSNSで拡散されるなど、発売と同時に反響を呼び、ECサイトにアクセスが集中。初日からサーバーが落ちるほどの反響があったという。

チーズワンダーの人気を支える2つの理由

 その勢いは、22年11月現在に至るまで継続している。特に1回購入した既存顧客によるリピート購入が多く、リピート率は60%程度にのぼるという。

 特筆すべきは、UA社が過去に2400人超の既存ユーザーを対象に実施したNPS調査で、+50~60ptという数字を出したことだ。NPSは、「人にこの商品を薦めたいか」を0~10の11段階で測るマーケティング指標のこと。そして、高得点を付けた「推奨者」の人の割合から、低得点を付けた「批判者」の人の割合を引いたものがNPSとなる。NPSの調査・分析を行うエモーションテック(東京・港)のエグゼクティブXMディレクター佐野真啓氏は、「NPSの平均値は業界によって異なる」と前置きした上で、「一度限りの調査なので以後の結果も気になるところではあるが、一度だとしても飲食ジャンルにおいて、+50~60ptを出すのは高いと言える」と評価する。

 チーズワンダーの人気をひもとくヒントは2つある。1つは、「味にかける手間と時間の多さ」。もう1つは、LINEやメールマガジンを活用した「コミュニケーション術」だ。

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