文具メーカーのプラス(東京・港)が22年2月に発売した文具「COE365(コエサンロクゴ)」シリーズが売れている。大きなイラスト、エコロジーに配慮したパッケージに加え、脳波測定の技術で分析した「エモ音」が聞けるという特徴がある。電通出身のディレクターが編み出した組み合わせの妙でヒットへと導いた。
放課後の誰もいない教室に入り、ノートやペンを取り出す。窓からは野球部のかけ声や吹奏楽部が練習する音が漏れてくる。もうすぐ夏が来るのだろうか。柔らかな風の中でセミが鳴く。そんなシーンが頭に浮かんできたころに、穏やかなピアノの旋律が重なってくる――。
プラスが22年2月に発売した文具シリーズ「COE365(コエサンロクゴ)」のパッケージに付いているQRコードをスマートフォンで読み取ると、上記のようなサウンドを再生できる。製品に描かれたイラストは「放課後の教室」「わたしの机の上」「朝の通学電車」「帰り道の口実」「雨の日の夕方」と5種類があり、それぞれのイメージに合ったサウンドを用意している。
COE365のコンセプトを統括した人物が、電通出身で企画やコンサルティングのBLUEとGREEN(東京・港)を率いる今永政雄氏である。プラスからの依頼は、SDGs(持続可能な開発目標)が広がる中、エコロジーに配慮しつつ、Z世代などの若者に訴求できる商品を生み出せないかというものだった。
なぜ文具と音を結びつけたのか。プラスの開発チームと議論する中で、「Z世代は“エモい”という言葉への反応度が高いというデータがあった」(今永氏)ことがきっかけだった。プロジェクトが始まった時期は21年春。感情をゆさぶるという意味を持つ新語の「エモい」は、若者の間で既に定着していた。
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