2022年に入り、ゲーム実況のジャンルに、視聴者がゲームに参加したり、サポートしたりできる「ライブゲーミング」というトレンドが生まれた。新たに参入したfingger(フィンガー、東京・品川)は、多人数の視聴者を引き込む「多数決」を生かした新種のゲームを続々とリリース。市場をけん引するミラティブ(東京・目黒)の背中を追いかける。

ゲーム実況を進化させた「ライブゲーミング」。多くの視聴者がゲームに介入できるようになり、没入感が上がった
ゲーム実況を進化させた「ライブゲーミング」。多くの視聴者がゲームに介入できるようになり、没入感が上がった

 ゲームをプレーする画面をライブ配信(生放送)しつつ、音声で実況中継を行う「ゲーム実況」。視聴者と配信者が一緒にゲームを楽しむ感覚が得られ、動画共有プラットフォーム「YouTube」でも常に人気のコンテンツだ。2022年に入り、そのゲーム実況が進化し、「ライブゲーミング」という新潮流が生まれている。

 ライブゲーミングの強みは、なんといっても「双方向性」だ。これまでのゲーム実況は、視聴者がチャットでコメントしたものを、配信者が読み上げるくらいしかできず、両者の関係は基本的に“一方通行”だった。それに対し、ライブゲーミングでは、視聴者がゲームに参加したり、課金アイテムを使って間接的にゲームに介入したりするなど、配信者と視聴者の距離がぐっと縮まる。

 この市場に新たに参入したのが、ゲーム配信プラットフォーム「fingger(フィンガー)」だ。運営するfingger(東京・品川)は、『ウマ娘 プリティーダービー』のヒットが記憶に新しいCygames(サイゲームス、東京・渋谷)のグループ会社。モバイルゲームやアニメーションの知見を生かし、ライブゲーミング市場に事業を拡大した。

 finggerは21年8月にクロ―ズドβ版をリリースし、22年5月から本格的にサービス提供を開始。花札やマージャンといった王道のゲームを中心に、現在は約20本のオリジナルゲームを配信する。「プラットフォームでの動画視聴回数は、22年9月に79万回。前月比の約1.4倍に増えている」と明かすのは、finggerの伊藤健一COO(最高執行責任者)。利用者の多くは20代後半~30代という。

YouTube連携に多数決。後発組の勝ち筋は?

 finggerの特徴は、パソコンのブラウザーで動作することと、多人数で楽しめるゲーム設計にある。類似サービスとの違いは、ライブゲーミング市場をけん引する配信プラットフォーム「Mirrativ(ミラティブ)」と比較すると分かりやすい。Mirrativは、スマートフォン1台で配信できる手軽さが強み。後発組のfinggerは、どのように差別化を図ったのか。

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