2022年9月に開催された「SKS JAPAN 2022」では、フードテック分野の注目スタートアップが複数登壇した。ジャックフルーツを使った「フルーツミート」から、熟成肉のうまみを増して劣化を軽減させる「菌」の技術まで、多彩な企業がそろった。注目の5企業を紹介する。

東南アジアではジャックフルーツを使った代替肉を開発するスタートアップが出てきている(写真/Shutterstock)
東南アジアではジャックフルーツを使った代替肉を開発するスタートアップが出てきている(写真/Shutterstock)

 SKS JAPAN 2022では、これまで別のイベントとして開催されていた「Foodtech Venture Day」(主催シグマクシス、リバネス)のセッションも初めて行われた。そこでは、フードテックをリードする側に立った「Venture partner」7社と、これからの飛躍を目指す「NEXTPIONEERS」9社が登壇。そのうち、注目の5社をピックアップし、紹介していく。

(1)Sustainable Food Asia
ジャックフルーツから「フルーツミート」を生み出す

 まずは、アジアのフードテックベンチャーが扱う食材などを日本に輸入するSustainable Food Asia(東京・渋谷)だ。同社代表の海野慧氏は、「海外では普通に食べられている食材や技術を日本に持ってきたり、日本のメーカーとのコラボやアライアンスを仕掛けたり、日本とアジアに橋を架けていきたい」と語る。その切り札として掲げるのが、ジャックフルーツを使った「フルーツミート」だ。

 「ジャックフルーツは赤道直下エリアではどこでも取れるが、現在は供給過多で廃棄されてしまっている。これをアップサイクルしながら流通させることで、食の需要に応えながら環境にも優しくなるサステナブル(持続可能)な食材だ」(海野氏)

赤道直下エリアで生産可能だが、現在はその多くが廃棄されているという
赤道直下エリアで生産可能だが、現在はその多くが廃棄されているという

 筆者もジャックフルーツから作った代替肉を実際に試食してみたが、大豆などを使った代替肉にはないねっとりとした食感で、より本物の肉に近い印象を持った。甘みはないので、言われなければフルーツ由来とは分からないような出来栄えだった。

展示会場ではフルーツミートを用いて作ったハンバーグの試食も行われていた
展示会場ではフルーツミートを用いて作ったハンバーグの試食も行われていた
こちらは加工前のフルーツミート
こちらは加工前のフルーツミート

 「加工前のフルーツミートは自然な赤みがかった色で、ハンバーグのパティのように成形できる。(代替肉としてというより)『カニカマ』のような新しい食のカテゴリーとして打ち出していきたい」(海野氏)

(2)REDD
農家と福祉作業所をつなぎ、アップサイクル食品を生み出す

 続いて、サービス・プロダクト開発や新規事業開発などを手がけるREDD(東京・練馬)。同社CEO・クリエイティブディレクターの望月重太朗氏は、ゴミとして捨てられていたアスパラガスの切り下(可食にならない茎の部分)を使った「翠茎茶(すいけいちゃ)」を農福(農家・福祉)連携で製造・販売する仕組みづくりについて紹介した。

 東京都練馬区で年間100種類以上の野菜などを生産販売している白石農園では数年前からアスパラガスを生産しているが、年間800キログラム以上の切り下を廃棄していた。これを練馬区内の福祉作業所であるかたくり福祉作業所で加工し、社会福祉法人あかねの会が持つ既存のキッチンを活用してお茶に加工、REDDが販売するという仕組みだ。

アスパラガスの切り下を使って作られた「翠茎茶」
アスパラガスの切り下を使って作られた「翠茎茶」

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