欧米で開催される小売業向けの祭典「SHOPTALK(ショップトーク)」のスピンアウトイベントとして、米国ラスベガスで、2022年9月19日から22日に行われた食品小売業界のイベント「GroceryShop(グロッサリーショップ)2022」。200人以上のスピーカーと4000人以上の参加者が集まった当イベントで、最新の食品小売業を見通す上で知っておくべき「5つのポイント」が見えてきた。

「GroceryShop 2022」イベント会場入り口
「GroceryShop 2022」イベント会場入り口

 世界的なインフレの波が押し寄せる食品小売業界において、先進企業はどう生き残りを懸け戦っているのか。世界各国から、食品小売業界のエキスパートが集結する「GroceryShop 2022」では、各社がプライベートブランドの拡充に取り組む理由や、最新のリテールメディア戦略が語られた。食品小売業界は、新型コロナウイルスの次はインフレとの共存という大きな課題を抱える。しかしイベントでは、これもまた変革のチャンスと見て取り組むグローバル企業の力強さが感じられた。

 イベント最終日には「Key takeaway from Groceryshop 2022(GroceryShop2022から得られた主な成果)」という、4日間を通した「5つの重要ポイント」を紹介するセッションがあり、イベント全体の情報が整理されていた。この5つのポイントを軸に、イベント内で語られた、今知っておくべきリテール最新事情を振り返っていこう。

「GroceryShop 2022」の模様が分かる1分動画

値段が高くても顧客が喜ぶ仕組みづくり

 世界中で起きているインフレに対し、小売業の多くは今、プライベートブランド(小売業が開発から手掛ける自社ブランド)に焦点を当てている。そこで議論されたのが、5つの重要ポイントの1つ目「1. Inflation&the economy(インフレと経済への対応)」だ。なお、5つの重要ポイントは次の通り。

1.Inflation&the economy(インフレと経済への対応)
2.Redefining convenience(利便性の再定義)
3.Evolving brand & retailer relationships(進化するブランドと小売業者の関係)
4.Engaging Shoppers(顧客とのエンゲージメント)
5.Grocery tech trends(食品小売業におけるテックトレンド)

 プライベートブランドが注目を集めるのは、顧客が求める価格に応えられるだけではなく、利益率をコントロールしやすいからだ。「プライベートブランドの強化は、トレーサビリティ(その製品がいつ、どこで、誰によってつくられたのかを明確にすべく、原材料の調達から生産、消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること)の可視化としての役割も果たしている」と、最終セッションに登壇したGroceryShopチームのコンテンツ担当上級副社長クリスティーナ・グスタフソン氏は言う。つまり、プライベートブランドを強化することは、サステナブル(持続可能)な消費にシフトしている顧客層へ安心や信頼を提供することになるとも言える。

 企業は、ストアブランド(小売業による独自ブランド。プライベートブランドが商品開発から手掛けるのに対し、ストアブランドは、既存製品の「品質や価格を改善」して販売する)と、プライベートブランドの相乗効果で、「ブランドアフィニティー(親近感)」を高めている。加えて、ロイヤルティープログラムや、単なる値引きでない付加価値(予約や配送オプションなど)を提供することで、LTV(顧客生涯価値。今回の場合、生涯売り上げではなく、生涯利益を示す)を追求する試みが行われている。

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