I-ne(アイエヌイー)はヘアケア、ボディーケアブランド「ボタニスト」やオンラインセレクトショップ「&Habit(アンドハビット)」のLINE公式アカウントのマーケティング活用方針を大きく変えた。商品自体の認知度が上がってきている現在、スタンプ(大型の絵文字)などを活用した新規友だち獲得に注力するのではなく、既存のファンのアクティブ率を高めるための運用を開始。直近ではオフラインとの連係も強化し始めた。
LINEスタンプでの集客は、平均350万~400万人を新規友だちとして獲得できる有効な施策だ。しかし、友だち追加後にメッセージの配信を停止する「ブロック率」は65%。スタンプは友だちを集めるには大きな効果がありながら、継続的に顧客と関係性を構築していくためには、次の施策を考える必要がある。
ボタニストのLINE公式アカウントの運用担当を務め、現在は起業し、LINE専門のマーケティング支援会社の立場で運用に携わっているDOTZ(ダッツ、東京・渋谷)の稲益仁社長はこう語る。
「ボタニストの商品認知度は、既に75%以上になっている。かつてはスタンプ施策で大規模に友だちを集めることで認知度向上を図ってきたが、友だち数の規模拡大とともにスタンプ一辺倒の施策では、費用対効果が悪化していく傾向にあり、新規友だちを増やすのは得策とは思えなかった」
そこで、LINEの運用方針を大きく変えた。新規顧客獲得のフェーズを経て、既存顧客とのリテンションへと役割を変えたのだ。22年10月現在、ボタニストの友だち数は約1800万人。新規友だち登録にコストを費やすのをやめ、ブロックされている層のアクティブ率の向上や、アカウントを認知はしているものの、まだ登録に至っていない層の登録を促すキャンペーンを始めた。既存の友だちに有益な情報を送るアカウントだと認識してもらい、アクティブ率を高めるために、どのような工夫でLINE公式アカウントを運用しているのだろうか。
LINEという特殊なUIに対応したメッセージ制作
その1つが、LINEというUI(ユーザーインターフェース)に沿ったメッセージの構成だ。「LINEは非常に特殊。ブラウザーでネットを閲覧する場合、上から下へとスクロールするが、LINEはメッセージを下から上へと遡って閲覧する」と稲益氏。下図はLINEのUIを踏まえたメッセージの一例だ。大手ECサイト「Amazon.co.jp」上で展開した、割引キャンペーンを告知する内容となっている。
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