2022年9月1日から3日にかけて、食に関する課題解決や食の未来をテーマに開催された「SKS JAPAN 2022」。17年の初開催時に比べて今回特に目立ったのが、大手企業とスタートアップの共創事例だ。日本でもフードテックが確実に進化してきている。
「SKS JAPAN 2022」は、約2年ぶりのリアル+オンラインのハイブリッド開催となった。さまざまな講演が繰り広げられる中で感じられたのが、大手企業とスタートアップとの共創が加速していることだ。早速、いくつかの講演内容をリポートしていこう。
イオン系食品スーパー×米ビヨンド・ミート
まず取り上げるのは、イオン傘下で食品スーパーを運営するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)だ。同社は、人工光型植物工場の企画・設立・運営サポートや植物の生産・販売などを行うプランテックス(東京・中央)と協業し、2022年6月に植物工場「THE TERRABASE(ザ・テラベース)土浦」(茨城県土浦市)を立ち上げた。すでに新しいプライベートブランド「Green Growers(グリーングロワーズ)」を掲げ、商品第1号となるレタスの販売を開始している。
SKS JAPAN 2022の講演「食品スーパーの未来~BEYOND Food Retail」に登壇したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス社長兼イオン執行役副会長特命担当の藤田元宏氏は、植物工場に取り組む狙いについて大きく3つあると語った。
「提供価値を実現するためには、サプライチェーン全体に対する我々のアクションとコミットメントが必要だと考えており、その一端がこの植物工場にある。もう1つは、我々が提供しようとしている提供価値を消費者に分かりやすく理解していただくために『Green Growers』のようなブランドとコンセプトが必要で、『TERRABASE』はそのアイコンになり得ると判断した。3つ目として、この取り組みの中で必要になるのは、野菜の栽培技術や工場の運営についてのノウハウと知見であり、それを持つプランテックスとの協業が必要だった」(藤田氏)
藤田氏は「この取り組みで得られた経験値は我々の会社にとって、これから商品をたくさん開発し、いろいろな方々と協業していく中で非常に大事な財産になるのではないかと考えている」とし、「独り立ちして立派な成果を残せるように、1日も早くこの工場を柱にすることが私たちの使命だ」と力強く話した。
もう1つ大きなニュースとなったのが、植物性代替肉メーカーとして有名な米国のビヨンド・ミートとのコラボレーションだ。
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