ダイハツ工業の大ヒット軽ハイトワゴン「ムーヴ キャンバス」が、2022年7月13日に初のフルモデルチェンジを行い、2代目に進化した。16年発売の初代は、近年では珍しい若い女性にターゲットを絞った新たな軽パーソナルカーとして投入。累計販売台数38万台を超える大ヒットを記録。その初代を超えるべく、全面的に進化を図った新型開発の狙いや思いを開発チームに取材した。

2016年に初代が発売されて以来、初めてフルモデルチェンジし、22年7月13日に発売されたダイハツ工業の軽ハイトワゴン「ムーヴ キャンバス」。価格は2WDが149万6000円(税込み、以下同)から、4WDが162万2500円から。写真は2トーンカラーが特徴の「ストライプス」デザイン
2016年に初代が発売されて以来、初めてフルモデルチェンジし、22年7月13日に発売されたダイハツ工業の軽ハイトワゴン「ムーヴ キャンバス」。価格は2WDが149万6000円(税込み、以下同)から、4WDが162万2500円から。写真は2トーンカラーが特徴の「ストライプス」デザイン

新旧でターゲットユーザーが変化

 ダイハツ工業の新型「ムーヴ キャンバス」は、軽自動車の主流商品であるハイト系ワゴンだ。特徴は愛らしいスタイルや前席をメインとする充実機能、スライドドア付きワゴンの利便性を持つこと。

 新型の大きな変化は2つ。まずデザインが初代のイメージを受け継ぐ2トーンのボディーカラーを持つ「ストライプス」と、モノトーンで大人っぽさを意識した内外装の「セオリー」の2タイプになったこと。次に初代が自然吸気(NA)エンジンのみの設定だったのに対し、力強い走りを生むターボエンジンを追加したことだ。価格は2WDが149万6000円(税込み、以下同)から、4WDが162万2500円からとなっている。

 初代と新型の狙いの違いは何か。新型ムーヴ キャンバスの商品企画を担当したダイハツ工業 営業CS本部国内商品企画部の松田梨江氏はまず、新旧のターゲットユーザーの違いを挙げる。

 「初代のターゲットユーザーは、親と同居する20代の女性。母と娘で共有して楽しんでもらえる、かわいく便利な軽自動車を目指した。実際にユーザーの89%が女性で、そのうち若年層が最多の35%を占めるなど狙いは的中した。ただ、市場調査では親子共有の中でも『父と娘』や『母と息子』というケースも見られた。さらに初代の購入検討者の中から、『デザインが少しかわいすぎる』や『ターボ車があれば』という声も聞こえてきた。そこで新デザインの『セオリー』とターボ車を追加することで、よりユーザーの拡大が図れると判断した」(松田氏)

新デザインとなる「ムーヴ キャンバス」の「セオリー」。モノトーンカラーが特徴
新デザインとなる「ムーヴ キャンバス」の「セオリー」。モノトーンカラーが特徴

「かわいくないからダメ」に対応

 そうはいっても初代の愛らしいデザインは受け継がれている。デザインを担当したダイハツ工業デザイン部第1デザインクリエイト室課長の芝垣登志男氏は、「開発チームでは、欧州車なども意識しつつ、かっこいい車に仕上げたいと考えた。しかし、軽自動車の顧客、特にキャンバスの購入検討者は、軽自動車を車というよりも、身の回りの雑貨に近い感覚で購入しており、『かわいいものが好き』や『車もかわいくあってほしい』という判断基準を持っていることが分かった」と言う。

 芝垣氏をはじめデザインチームは可能性を探るべく、キープコンセプトではなく、新たなスタイルとしてシリアスな顔のデザインの提案も試みた。だが、女性たちにその感想を求めると、「かわいくないからダメ」と猛反発を受けた。「かわいくなければキャンバスではない。それでも男性にも受け入れられるデザインに仕上げるにはどうすればよいか」という難問に直面したチームは、何度もデザイン提案を繰り返し、解決策として男性と女性の車の見方に着目。女性の場合、細かな部分ではなく、全体の雰囲気で車のデザインを評価しているが、男性は細部の作り込みにメカらしさを感じて評価していると分かった。

 そこで全体としてはかわいい雰囲気を残しつつ、細部のデザインに凝ることで、男女に受け入れられるデザインを目指した。その結果誕生したのが、モノトーンのシックなボディーカラーと、ブラウンとネイビーを組み合わせた上品なインテリアを持つ新提案の「セオリー」だ。初代で人気だった2トーンのかわいいボディーカラーと、白を基調とした明るい内装を持つ「ストライプス」で従来のターゲットを押さえ、セオリーで幅広い世代の男女を取り込めるよう、2つの世界観を提示したわけだ。

白を基調とした明るいインテリアのストライプスの内装。ステアリングやメーターパネルにも白をアクセントに取り入れ、シートも明るいライトグレーの専用色を取り入れる
白を基調とした明るいインテリアのストライプスの内装。ステアリングやメーターパネルにも白をアクセントに取り入れ、シートも明るいライトグレーの専用色を取り入れる
ブラウンとネイビーを組み合わせた上品なインテリアのセオリー。基本的な機能や作りは、ストライプスと共通だが、上質さの演出として、セオリーの「G」グレードのみに本革巻きステアリングと本革巻きシフトレバーを装着
ブラウンとネイビーを組み合わせた上品なインテリアのセオリー。基本的な機能や作りは、ストライプスと共通だが、上質さの演出として、セオリーの「G」グレードのみに本革巻きステアリングと本革巻きシフトレバーを装着
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