元読者モデルで美容家の千葉由佳氏が立ち上げたスキンケアブランド「Yunth(ユンス、東京・港)」が好調だ。先行予約の段階で即完売し、現在も品薄状態が続くほどの人気を誇る。全国のバラエティーショップやドラッグストアで取りそろえるほか、伊勢丹新宿店で開催したポップアップでは千葉氏自身がファンとともに店頭に立ち商品を販売した。同ブランドの人気を支えるファンとの付き合い方を聞いた。
話題のスキンケアブランドがある。元読者モデルで美容家の千葉由佳氏が立ち上げた「Yunth」だ。2021年11月にブランドを開始し、先行予約を受け付けた際は即完売する反響があったという。
全国のバラエティーショップやドラッグストアのほか、オンラインショップで販売している。ブランドを立ち上げた翌日には、伊勢丹新宿店の担当者から千葉氏のInstagramアカウントにDM(ダイレクトメッセージ)があり、ポップアップの開催を打診されたということからも、注目度の高さがうかがえる。
Yunthは、「生ビタミンC美白美容液」(3960円・税込み、以下同)、「ナノバブル美白化粧水」(4389円)、「美白シートマスク」(1980円)などを、スキンケアシリーズとして取りそろえる。
中でも人気なのが、肌のしみやそばかすを防ぐ効果を追求して、「生ビタミンC」を使用した「生ビタミンC美白美容液」。新鮮な状態で肌につけられるよう、1回あたりに使用する量をパウチに包み小分けにしたものだが、それを気に入ったファンが自身の友人にそのパウチを渡して薦めることもしばしばあるそうだ。同商品は22年8月、楽天市場のデータやトレンド情報などを参考に、あらゆるジャンルの売れ筋人気ランキングを紹介する「楽天ランキング」の「楽天美容液ランキング」で1位を獲得している。
千葉氏がYunthを立ち上げた背景には、自身の読者モデル時代の経験がある。「ファッションよりも、コスメのことを聞かれることが圧倒的に多かった」と、千葉氏は振り返る。「30代になると、チャレンジすることを諦めてしまう女性も多い。何かチャレンジしてみたいという女性を応援したい」(千葉氏)という思いもあり、自身が34歳のとき、ブランド設立の一歩を踏み出した。
千葉氏は、ブログやInstagramを通じてファッションやコスメについて発信し、ファンとの交流を大切にしてきた。その中で特に反響が寄せられたのが、自身の肌の悩みについてつづったブログだった。「美容のことを聞かれることが増えてきたので、自分が昔、肌で悩んでいたときの写真をさらけ出した。肌が荒れてニキビができたらそれも見せるし、それを隠すメークのやり方も伝えた」(千葉氏)
すると、「こんなにきれいになれるなら諦めずに頑張ろう」「希望が持てた」などといった声がファンから寄せられた。それを受けて、千葉氏は自身が実際に使ってみて良かったコスメを紹介したり、Instagramライブでファンから寄せられる肌の悩みに答えたりするようになった。ファンから聞いた「肌に自信がない」「スキンケアブランドを出してほしい」という声が、Yunthを立ち上げる後押しになったわけだ。
P2Cの売り方
そのような成り立ちは、D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)をほうふつとさせる。D2Cは、商品を製造するメーカーが直接消費者に販売するビジネスモデル。一方、それに派生する概念としてあげられるのが、P2Cだ。「パーソン・ツー・コンシューマー」の略で、個人が自身で企画、生産した商品やサービスを、中間業者や小売店を挟まずに直接消費者に販売するビジネスモデルだ。Yunthはこれに該当する。
フォロワーを多く抱えるインフルエンサーが、自身のブランドを立ち上げて、EC(電子商取引)サイトを通じてファンに直接販売をする。それによって、顧客へのブランドの訴求から販売までを個人が一手に引き受けているのが、P2Cの特徴だ。
「P2Cブランドをやってみようと意識していたわけではなく、気づいたらP2Cになっていたというのが正直なところ」としつつ、千葉氏はP2Cを展開することのメリットも感じているという。
例えば、「自由度の高さ」だ。「P2Cは、つくりたいものを好きなようにつくって、自分の友達に『これいいよ』という感覚で、フォロワーさんやお客さんに薦められるのがいい。自由度が高くて、距離が近い感じがする」(千葉氏)。千葉氏は、数十社の中から生産工場を検討し商品の試作を重ねたり、フォロワーが買い求めやすい価格設定にすべく交渉したり、妥協なくこだわった商品づくりを心掛けているという。
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