埼玉県を拠点に関東地方で126店舗(2022年2月時点)を展開する食品スーパー「ベルク」。2022年2月期で、営業収益は前年比105.6%、経常利益も同109.5%と好調だ。埼玉県には、東北や甲信越などからドラッグストアやディスカウントストアなどが進出するなど、業態を超えて競争が激化する中、デジタルマーケティングを強化して対抗する。攻略を目指すのは、これまでスーパーになじみが薄かったZ世代だ。
Z世代が“遊びに来る”スーパーがある。埼玉県を拠点に関東地方で126店舗(2022年2月時点)を展開する食品スーパーチェーンの「ベルク」だ。
2020年4月にベルクの社長に就任した原島一誠氏は、就任時にトップメッセージをこう表明した。「地域社会の暮らしを豊かにするという使命を果たすため、過去のこだわりや成功体験を手放し、高い生産性を実現する標準化を基盤に利益を確保し、変化に対応するための投資を行ってまいります」。その言葉の通り、原島氏はさまざまな改革を断行している。
その1つが、マーケティング策の抜本的な見直しだ。その象徴ともいえるのが、営業企画部をマーケティング部へと変える組織変更。「会社として、意識や発想を変える必要があった」(原島氏)と、あえて名前や組織を変えた。
もともと営業企画部は、周辺に配布する紙のチラシの内容や、どのエリアに配布するかといったことなどを決めるのが主な業務。「チラシが届く範囲の生活者に何をするかしか考えていなかった」(原島氏)という。しかし、新聞を購読する人が減れば、折り込みチラシの効果は当然下がる。「2030年に向け、チラシの効果は毎年10%ぐらいずつ減っていくイメージを持っていたが、今回のコロナ禍で加速した」と原島氏。そこで考えたのが、チラシ以外でリーチする方法。「外の世界に視点を切り替えれば、いくらでもアプローチできるお客様はいるはず。スーパーにとってのブルーオーシャンはまだまだある」(原島氏)。
スーパーになじみの薄いZ世代を開拓せよ!
新しいマーケティング部の人材は、社内外から積極的に集めた。例えば、SNS担当は、社内で公募をした結果、決まったという。そんな中、マーケティング部が初めに託されたミッションは、Z世代を中心とする若者をターゲットにした新規顧客獲得だ。
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