2006年、北海道北見市で創業した環境大善(創業当初は環境ダイゼン)。100%天然成分でできた消臭液「きえ~る」のパッケージ刷新を目指し、18年にスタートした、現在も続くリブランディングの軌跡を追った。

環境大善 社長 窪之内誠氏(画像提供/環境大善)
環境大善 社長 窪之内誠氏(画像提供/環境大善)

 北海道北見市にある環境大善は、消臭液「きえ~る」を製造、販売する企業だ。きえ~るには、液体のスプレータイプや置き型のゼリータイプ、詰め替え用があるが、どれも牛の尿が原料で100%天然成分の消臭液となっている。

 きえ~るは、牛の尿を分解してできる酵素やミネラル、乳酸菌を含んだ液体を独自技術で精製してつくられる。臭いを発生させる微生物の増殖を抑え、臭いを元から抑える。特に、アンモニア臭や腐敗臭に対する消臭効果が高いという。

 きえ~るを主力商品とする環境大善の2021年度の売り上げは、17年度に対して120%ほどに伸びている。20年度の出荷量は、300ミリリットル換算で約110万本だったという。成長の背景にあるのが、18年からスタートしたリブランディングだ。創業者の息子で、16年に代表取締役専務、19年に社長となった窪之内誠氏は、きえ~るの独自性や商品性にさらなる可能性を感じており、「もっと評価されていいはず」と考えていた。そのためには、「牛の尿からできている謎の液体という怪しさを払拭する必要があると考えていた」(窪之内氏)。

 窪之内氏が社長に就任した当時の従業員数は10人ほどで売り上げは2億円程度、卸売先はホームセンターが多くを占めていた。

2021年9月にリニューアルした環境大善の消臭液「きえ~る 室内用」のパッケージ。イラストは小川雄太郎氏に依頼し、スプレータイプにはバイオマスボトルを採用。左上はリニューアル前の旧パッケージ(画像提供/環境大善)
2021年9月にリニューアルした環境大善の消臭液「きえ~る 室内用」のパッケージ。イラストは小川雄太郎氏に依頼し、スプレータイプにはバイオマスボトルを採用。左上はリニューアル前の旧パッケージ(画像提供/環境大善)

 リブランディングは売り上げ増加に加え、その取り組み自体が反響を呼び、中小企業庁発行の「中小企業白書 小規模企業白書 2022年版 上」に掲載されるなど、さまざまな成果をもたらした。22年5月にはリニューアルしたパッケージデザインが、「ニューヨークADC 賞MERIT AWARDS」を受賞している。

本を読んで知ったブランディング

 リブランディング最初の課題が、誰に依頼するかだった。そもそも、当初はリブランディングではなく、パッケージデザインの刷新だけを考えていた。

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