コロナ禍になってからの2年ほどで、EC売上高を1.8倍に伸ばしたブランドがある。1998年に北海道小樽市で開業した洋菓子店「小樽洋菓子舗LeTAO(ルタオ)」だ。北海道の土産物というイメージから脱却し、ちょっとしたご褒美のギフトスイーツとして認知度を拡大し、躍進をしている。EC好調の背景を探ると、ファンづくりの妙手が見えてきた。
1998年に北海道小樽市で開業した洋菓子店「小樽洋菓子舗LeTAO(ルタオ)」を展開するケイシイシイ(北海道千歳市)のEC事業が好調だ。2020年3月期は約22.5億円だったECの売上高が、22年3月期には約41億円と1.8倍に増え、売上全体の40%以上を占めるまでに成長した。コロナ禍によって全体的にECシフトが進んだことも影響していると思われるが、積極的なEC強化策が消費者の心を捉えている。
ケイシイシイのダイレクトマーケティング部部長を務める西尾雄介氏は、「コロナ禍でECを使う人が増えた。チャレンジする機会だと考えて、いろいろな対策を打っているが、瞬間的に売り上げを伸ばすのではなく、1人ずつでもファンをつくっていくのが基本的な考え」と話す。
ソーシャルギフト活用で土産物からギフトスイーツへ
対策の中で、大きな成果が出ているのが、相手の本名や住所が分からなくてもギフトを送れる「ソーシャルギフト」だ。従来のフォーマルなギフト市場は弱含みだが、気軽に感謝を伝えたり、ちょっとしたお祝いとして送ったりするニーズを捉え、急拡大している。
ルタオは、20年10月から老舗ソーシャルギフト「LINEギフト」に出店。21年12月には、LINEギフトでの売上高が前年同月比で約8倍に拡大し、年間売り上げではルタオを代表するチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」がLINEギフトの配送ギフト部門で1位を獲得するなど好調だ。「クリスマスなどのイベント時期に売れることは想定していたが、日常的にギフトを贈る人がこれほど多いことは予想外だった」と西尾氏は話す。
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