ライブ配信プラットフォーム「17LIVE」を提供する17LIVE(東京・港)は、新たに複数のライブコマース関連サービスを開始する。まずは2022年8月上旬、17LIVEが確立した「ライブコマースで売れるメソッド」を身に付けた配信者(インフルエンサー)と広告主をマッチングするサービスから始める。配信者を確保できずにライブコマースに取り組めなかった企業や、既に自社で展開しているものの成果が出ていない企業らの需要を掘り起こす狙い。22年内に、食品、美容品メーカーなど約10社と実験的に実施したうえで検証し、23年以降に本格提供を開始する。
これまでの17LIVEのライブコマース支援事業は、対象範囲が同社が提供するライブコマースを実施するためのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「HandsUP」利用企業にとどまっていた。
この度追加されることになったのは、HandsUPの未導入企業向けを含む、複数のライブコマース関連サービスだ。まずは22年8月上旬、企業の代わりにライブコマースの配信者となるインフルエンサー(コマースライバー)と広告主をマッチングさせるサービスから始める。同サービスはHandsUPの未導入企業でも利用可能。インフルエンサーのInstagramなど、多くのフォロワーを抱える個人SNSアカウントを利用したライブコマースも可能だという。企業は、商品と訴求ポイントを記載したヒアリングシートを用意するだけでいい。
インフルエンサーとのマッチングサービスでは、広告主の商材との相性だけでなく、より売れる力を持った配信者を優先的に紹介する。17LIVEでは、どの企業でもライブコマースで成果を出せるように、21年9月から企業へのコンサルティングを強化し、売れるライブコマースのメソッドを確立してきた。その結果、支援企業の1配信あたりの売り上げは4倍に向上したという。
17LIVEは「認証ライバー」と呼ばれる、ライブ配信で収入を得ているライブ配信者を5万4000人以上抱えている。22年8月上旬からスタートするマッチングサービスでは、そうした17LIVEのトップライバーや外部のインフルエンサーのうちライブコマース経験者を中心に、売れるライブコマースのメソッドで「コマースライバー」として育成し、新サービスの配信者に起用する。これまで配信者が確保できないためにライブコマースの実施に踏み切れなかった企業や、自社で取り組んではいるものの成果につながらず、継続実施ができなかった企業の利用を見込む。
なお17LIVEのトップライバーを起用する場合には、ライブコマースはライブ配信プラットフォームの17LIVE上、もしくはHandsUPが導入された企業の自社ECサイトのみで実施可能。17LIVEにはライブコマース機能は内包されていないため、17LIVE上で行う場合には、コメント欄やインフルエンサーのプロフィル欄に企業のECサイトのURLを記載するなどして、購入導線を設ける。
コミュニケーションが売り上げを伸ばす鍵
ライブコマースの売り上げを伸ばす鍵は、配信中のコミュニケーションにある。例えば、アパレル商品をライブコマースで紹介する際、視聴者は「洋服の裏地はどうなっているのか」「どんな商品との組み合わせがいいのか」などの疑問をすぐにコメント欄などを通じて、配信者に問いかけられる。配信者は視聴者から寄せられたコメントにリアルタイムで答えることで、即時に不安や疑問を解消することができ、それが購入の後押しになる。
そのためライブコマースで成果を出しやすいのは、日ごろから実店舗で接客を行っている販売員が多い。特に売り上げ実績が大きいトップ販売員は接客スキルが高いことから、ライブコマースとも相性がよく、中には30分程度の配信で実店舗の1日の売り上げを上回るような人もいる。
そのような適した配信者がいる場合には、ライブコマースに取り組むことで売り上げを伸ばしやすい。例えばベビー服や子供服を販売するブランシェス(大阪府吹田市)では、ライブコマースのコンバージョン率が平均して4~5%、高い時では10%程度と、通常のECサイトのコンバージョン率よりはるかに高い数値になっているという。
ただ、広告主が独自にライブコマースを行う場合、必ずしもそうした売り上げにつなげられるスキルを持ったスタッフがいるとは限らない。ライブコマースで成果を出すには、商品知識はもちろん、限られた時間の中で商品の特長を紹介し、場を盛り上げ、視聴者からのコメントに応じ、突発的に起こったトラブルにも柔軟に対応するなど、高いコミュニケーションスキルが求められるからだ。
17LIVEがスタートする新サービスを活用することで、ライブコマースに適した販売スタッフを持たないメーカーなども、適切なインフルエンサーとのマッチングにより売れるライブコマースを実施できるようになる。
サービス概要、費用感は?
新サービスでは活用企業と相性のいいインフルエンサーを17LIVEがマッチング。インフルエンサーが配信者となり、企業から提供された商品やヒアリングシートを基にライブコマースを実施する。なお配信にあたっての座組みは自由に組めるようになっており、活用企業の社員などがインフルエンサーと一緒に出演することも可能だという。
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