アプリやウェブサービスのデザインを共同編集するためのツール「Figma(フィグマ)」が2022年7月27日、日本語版を提供する。英語以外の言語への対応は初めて。既にヤフー、楽天グループ、LINE、リクルートなどが利用しており、20年から国内登録数は約2倍に拡大している。日本語対応で普及を加速する。
Figmaは、アプリなど画面デザインを開発チーム内で共有するためのツール。ウェブブラウザー上で利用できるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のサービスで、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザー体験)を設計し、改善する議論を効率化できる。
文字やボタン、チェックマークなどのアイコンを配置し、あるボタンを押したときに画面がどのように遷移するかといった実際の動きをシミュレーション風に表示できる。ソフトウエア版のモックアップ(試作品)をつくるためのツールといえる。気になる部分をクリックしてコメントを残す機能や、音声ミーティングの機能もあり、遠隔地にいるチームメンバーと改善に向けた議論ができる。
利用料金は月払いで15ドル、年払いが144ドルから。機能限定のフリー版もある。そのほか、ブレインストーミング用のホワイトボードツール「FigJam」も2021年4月に発表している。アプリの流れ図を描く、アイデアを付せんのように貼り付けるといった機能を持つ。
日本語化の狙いについて、「市場にはそれぞれ独自性がある。日本企業のニーズが世界の他の地域とどう違うのかをもっと学びたい」と、米フィグマCEO(最高経営責任者)のディラン・フィールド氏は話す。既にヤフー、楽天グループ、LINE、リクルートといった企業がFigmaを利用しており、Figmaの活用法を教え合う日本ユーザーによるコミュニティーも広がっている。それでも言語の壁によって、他国に比べるとFigmaの広がりが遅れる傾向があった。3月には日本オフィス設立を発表し、サービス内のメニューのほか操作を説明するドキュメント類も日本語化を進めてきた。
ユーザーの8割は米国外
Figmaは16年の開始当初からグローバル展開を重視しており、欧米やアジア各国でも広がっている。現在では週に1回以上利用するアクティブユーザーの82%は米国外のユーザーで、収益の52%を米国外から得ている。急成長によって企業価値は100億ドルに到達した。ユニコーンを越える、いわゆる「デカコーン」である。
世界にサービスを拡大し、継続利用を促していくうえでは、新規ユーザーに向けた導入支援を重視している。Figma自体の開発にもFigmaを活用しつつ、親しみやすく、理解しやすく、直感的に使えるサービスとすることを目指してきた。アプリのデザインにまつわる多彩な機能を備えているが「複雑さを感じることがないように、新規ユーザーがシンプルに扱えるようにした」とフィールド氏は話す。
利用開始時にはポップアップ表示で主要なメニューやアイコンの説明を表示するほか「もっと学びたいと思ったときに、それが簡単にできるように、多くのドキュメントやヘルプ資料を用意している」(フィールド氏)。Figmaのユーザー同士がノウハウやテンプレートを共有できる交流ページも設けている。
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