国内のリユース市場規模が拡大を続け、大手のコメ兵ホールディングスも大きく業績を伸ばした。デジタル接客を積極的に進め、今後はLINE接客を利用するなどしてZ世代のファン獲得を目指すという。次なる一手は「愛着度」という指標の導入。新たな顧客層を開拓する戦略を石原卓児社長に聞いた。

コメ兵ホールディングスは、エルメスの人気アイテムを集めたポップアップストアや、初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」など、専門店化で新たな顧客とのタッチポイントを強化する
コメ兵ホールディングスは、エルメスの人気アイテムを集めたポップアップストア(右上)や、初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」(左)といった専門店を出店し、新たな顧客とのタッチポイントを強化する

 世界的に環境意識が高まり、資源を有効活用するため循環型社会へのシフトが進んでいる。近年は新型コロナウイルス禍で不用品を処分する人が増えるなど、日本のリユース市場規模は拡大を続けている。専門紙「リサイクル通信」の調べでは、2020年の市場規模は2兆4169億円。22年は3兆円、25年には3兆5000億円と、好調に推移すると予測されている。

 市場の勢いが加速する中、リユース大手のコメ兵ホールディングスも大きく業績を伸ばした。22年3月期は、前期比40.3%増の711億円。営業利益が同529%増の37億円で、いずれも過去最高となった。

 コメ兵ホールディングスは、リユース店「KOMEHYO」や「BRAND OFF」などを主要都市に展開。中でも、特に売上構成比が高いKOMEHYOは、主に実店舗やオンラインストア(以下、ECサイト)、買い取り拠点の3つのチャネルを持ち、ブランド品の買い取り・販売に強みを持つ。

 デジタル戦略にも積極的で、10年のECサイト立ち上げ時からOMO(オンラインとオフラインの融合)強化を進め、20年8月にはECサイトを刷新。サイト内の購買行動と店舗の購買履歴を統合的に蓄積し、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズ化を目指してきた。そうした利便性が支持され、22年7月時点で、登録会員は約100万人を超えている。

 現在の利用者は、40代以上が7~8割と高年齢化が目立つ。今後はより若い世代のファンを増やそうと、Z世代(やY世代)をターゲットに展開していくという。「SDGs(持続可能な開発目標)への意識が高まり、ものを大切に使うという考えが定着した。特にZ世代はリユースに対する心理的な障壁が少なく、長くビジネスをしていく中で重要な顧客層と判断した」とコメ兵ホールディングス社長の石原卓児氏は語る。若い世代に中古のブランド品を購入してもらうために、どんな戦略を取るのだろうか。

Z世代攻略には2つのポイントあり

 Z世代攻略に向けたポイントの一つが、専門店の強化だ。例えば、エルメスの人気アイテムを集めたポップアップストア「TSUNAGU」を、21年10~11月に渋谷スクランブルスクエア(東京・渋谷)に出店。22年3月には、初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」を東京・銀座にオープンした。愛好家が満足できる商品を、展示品・販売品含めて常時約500点用意する。いずれも、これまでKOMEHYOを利用したことがない消費者に対し、新たなタッチポイントをつくるのが狙いだ。

 「若者のブランド離れが進み、単に“ブランド品を扱う店”では響かない。スニーカー専門店では、店頭で大量のスニーカーの陳列が目に入るようにしている。衝動的に立ち寄りたくなる店構えにすることで、新しいお客様を取り込めている」(石原氏)

期間限定のポップアップストア「TSUNAGU」(写真/どちらもコメ兵ホールディングス提供)
期間限定のポップアップストア「TSUNAGU」(写真/コメ兵ホールディングス提供)
初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」
初のスニーカー専門店「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」(写真/コメ兵ホールディングス提供)

 22年11月以降、もともと銀座5丁目にあったKOMEHYOの店舗を、ルイ・ヴィトンやシャネル、ティファニーといった世界の一流ブランドがひしめく銀座中央通り沿いに移転することも、新しいファンをつくる挑戦の一つだ。移転前と比べて店舗面積は半分程度になるものの、リユース店とブランドショップが並び合う姿は、コメ兵のイメージアップにつながる。「近年の傾向として、在庫があるだけでは集客に結びつかない。リユース店が銀座のメインストリートに店を構えるとアピールできれば、お客様に安心感を与えられる」と石原氏は見る。

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