2022年6月29日、ZOZOは、運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR」で、ユーザーが手持ちのアイテムを個人間で売買できる新機能の提供を開始した。同じくZホールディングス傘下のヤフーが運営する「PayPayフリマ」の仕組みを活用する。ZOZOは過去にもフリマアプリ「ZOZOフリマ」を展開していたが、収益化に苦戦し、17年6月にサービスを終了。今回自社サービスとしては5年ぶりに、個人間売買に取り組むことになる。再参入におけるZOZOの勝ち筋とは?

ZOZOは2022年6月29日、コーディネートアプリ「WEAR」にて、アイテムの個人間売買ができる「ソーシャルコマース」機能の提供を開始した
ZOZOは2022年6月29日、コーディネートアプリ「WEAR」にて、アイテムの個人間売買ができる「ソーシャルコマース」機能の提供を開始した

 2013年にサービスが開始された「WEAR」は、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOのファッションコーディネートアプリ。自身が所有するファッションアイテムを使ったコーディネート画像を投稿したり、お気に入りのユーザーをフォローし着こなしの参考にしたりといった使い方ができる、ファッション特化型のSNSだ。

 そのWEARに、ユーザーが手持ちのファッションアイテムを出品し販売できる、個人間売買の「ソーシャルコマース機能」が実装され、22年6月29日から提供が始まった。ソーシャルコマースとはSNSなどのソーシャルメディアとECをかけ合わせた販売手法のこと。WEARにおいては、投稿したコーディネート写真に掲載した手持ちのアイテムを出品し、それをフォロワーが購入するという仕組みだ。

「欲しい」と「売りたい」のニーズに応える新機能

 WEARは、22年3月時点、累計ダウンロード数1600万を突破するファッションコーディネートアプリ。これまでに、1200万件を超えるコーディネート画像が投稿されている。WEARとZOZOTOWNのIDを連係すると、手持ちのアイテム画像をZOZOTOWNの商品情報とひも付けられるため、フォロワーは投稿された画像からZOZOTOWNに遷移し、同じアイテムや類似アイテムを購入できる。ただし、購入があっても投稿者にインセンティブなどは発生せず、あくまで投稿や閲覧を楽しむSNSとなっている。

WEARで紹介されているコーディネート例(画像提供/ZOZO)
WEARで紹介されているコーディネート例(画像提供/ZOZO)

 この度追加されたソーシャルコマース機能を利用する場合は、次の3つの連係が必要になる。①Yahoo! JAPAN IDの登録およびWEAR IDとのアカウント連係、②PayPayフリマの利用登録およびWEARとのデータ連係、③PayPayアカウントの登録およびYahoo! JAPAN IDとの連係。

 加えてWEARとZOZOTOWNのIDを連係すると、ZOZOTOWNで購入した商品がWEAR内の「クローゼット」(※編集部注:自身の手持ちアイテム画像や情報を登録したり、WEAR上に投稿されているアイテムを検索して登録できたりする機能)に掲載されるようになる。クローゼット内のアイテムには「『出品する』ボタン」が付いているので、ID連係することで、ZOZOTOWNで購入した商品を簡単に出品できる仕組みとなっている。

 売買には、グループ会社のヤフーが運営する「PayPayフリマ」の仕組みを活用する。そのため販売手数料(販売価格の5%)や、商品の発送方法もPayPay フリマに準じている。

WEARで提供されたソーシャルコマース機能を利用した購入イメージ。出品アイテムの選定や購入希望商品の閲覧はWEARで行うが、売買はPayPayフリマ上で行われる
WEARで提供されたソーシャルコマース機能を利用した購入イメージ。出品アイテムの選定や購入希望商品の閲覧はWEARで行うが、売買はPayPayフリマ上で行われる

 WEARはリリース以来、「欲しい服を探したい」「コーディネートの参考にしたい」といった、ファッションの悩みを解決するためのサービスとして評価を得てきた。その中で顕在化してきたのが、ファッションを愛するユーザーが集まるSNSならではのニーズだ。

 そのニーズには2つの側面がある。1つは、「洋服のサイズが合わなくなってきた」「最近は着なくなった洋服がある」「大切な洋服を大事にしてくれる人に譲りたい」という商品に愛着はあるものの手放したいニーズ。もう1つは、「フォローしているこの人の服が欲しい」という支持している人の商品を手にしたいニーズだ。ZOZOは、WEARにソーシャルコマースの機能を実装することで、双方のニーズをかなえられるとする。また、新しい機能を追加することで、よりユーザーの利用頻度を高めるとともに、新たなユーザー開拓にもつなげたい考えだ。

 ZOZOがフリマを手掛けるのは、今回が初めてではない。5年前、15年12月に「ZOZOフリマ」をスタートしたが、1年半で閉鎖した。ZOZOフリマは独立したアプリとして展開されたサービスで、出品した商品はZOZOフリマ内だけでなく、ZOZOTOWNにも「フリマ商品」として掲載された。

 ユーザーは出品時に、ZOZOTOWNやWEARに投稿された商品情報や画像を利用できたため、商品の撮影や情報入力といった手間がない利便性が売りだった。しかし、フリマ市場はメルカリを筆頭に競合サービスがひしめいており、「取扱額などが想定にいたらなかった」としてサービスを終了した。

ZOZOフリマを閉鎖した17年3月期のフリマ事業の取扱高は、全体の0.4%程度だった(画像は、ZOZOの22年3月期決算資料よりキャプチャー)
ZOZOフリマを閉鎖した17年3月期のフリマ事業の取扱高は、全体の0.4%程度だった(画像は、ZOZOの22年3月期決算資料よりキャプチャー)

 それから5年。今回ZOZOは、既存のWEARの中にソーシャルコマース機能を設けることでユーザーの利用ハードルを下げるとともに、「ファッション特化型」であること、またアプリダウンロード数が1000万件を超える「PayPayフリマとの連係」などを武器にフリマ市場の一角を狙う。

ZOZOの4つの勝ち筋

 今回の取り組みにおいてZOZOの勝ち筋になり得るポイントは、4つある。

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