2022年4月、BtoB向けのソリューション事業を担うパナソニック コネクトが発足。パナソニックグループの新会社になり、まずパーパス(存在意義)を策定した。CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の山口有希子氏らに思いなどを聞いた。
パナソニック コネクト 執行役員 常務・CMO
――パナソニック コネクトは、サプライチェーン関連からAV(音響・映像)システムなど幅広い事業領域を手がけています。どのようにパーパスをつくり、コミュニケーションしていったのでしょうか。
山口有希子氏(以下、山口) 2022年4月、パナソニック ホールディングス体制への移行に伴いパナソニック コネクトが事業会社化するに当たり、17年のパナソニック コネクティッドソリューションズ社(CNS社)発足時代から大切にすることは「現場」であったため、そこをベースにコミュニケーションすることは変わらないと思っていました。
以前から掲げている「現場プロセスイノベーション」という言葉もありましたが、今回、新しく事業会社となるに当たり、新パーパスを設定することになりました。そこで、21年春からクリエイティブディレクターのレイ・イナモトさんが率いるI&CO(アイ・アンド・コー)に入っていただき、新会社の発足時に一気にさまざまなコミュニケーション展開ができるよう、プロジェクトをスタートさせました。そこで当社のパーパスは、「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」にしました。その後、CMを含めたキャンペーン展開をするため佐々木康晴さん率いる電通にも入っていただき、そこから3社がワンチームになってプロジェクトを実行しています。
――以前の言葉にも新パーパスにも「現場」という言葉が入っていますね。
山口 当社CEO(最高経営責任者)の樋口泰行は、CNS社発足時から社長を務めていまして、どういう会社であるべきかを社内でずっと議論してきました。「現場」という言葉は私たちにとってとても重要で大切にしてきており、「現場のお客さまと一緒にイノベーションを起こすことによって、よりよい世界をつくる」というコンセプトは以前と変わりません。ただ今回、会社が新しくなったことで、改めてパーパスとしてきちんとつくり上げ、3万人近いパナソニック コネクトの従業員みんなが腹に落ち、覚えやすいようにしました。
英訳しにくい「現場」のニュアンス
――I&COにとって今回のパーパスづくりはいかがでしたか。
レイ・イナモト氏(以下、イナモト) パーパスは、今まで会社になかったものではなく、もともとその会社の中にあるものです。パナソニック コネクトは新会社といっても前身のCNS社があります。今回のパーパスづくりは、社内という“岩石”の中に隠れているダイヤモンドを探し出す作業だったと思います。
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