マーケティングツール導入の主な目的は、顧客データを分析し、成果を生む「打ち手」を探ること。とはいえ膨大なデータに翻弄され、策がうまく見つからないケースも多い。解析ツール「Amplitude(アンプリチュード)」のCPO(最高プロダクト責任者)に、データ分析の最新トレンドと成果を出す体制づくりについて聞いた。

ウェブページやアプリの利用動向、店舗のPOS(販売時点情報管理)などマルチチャネルでデータ分析ができるツール「Amplitude(アンプリチュード)」の画面例
ウェブページやアプリの利用動向、店舗のPOS(販売時点情報管理)などマルチチャネルでデータ分析ができるツール「Amplitude(アンプリチュード)」の画面例

 「新規ユーザーが10日以内に7人の友達を登録すると、飛躍的にエンゲージ(サービスへの定着や愛着)が高まる」。SNS(交流サイト)のFacebookでは、そんな傾向が見つかり、サービス最適化の指標となっているという。つまり「友達登録の数」をKPI(重要業績評価指標)として、「友達登録を促すメッセージを出す」「友達登録のボタンを目立たせる」といった打ち手を重ねることで継続利用につなげているというわけだ。

 企業活動の目的、すなわちKGI(経営目標達成指標)は多くの場合で売り上げとなる。ただサブスクリプションをはじめ、顧客とのつながりを重視するビジネスの場合、現場が実行する施策が売り上げに直結しないこともある。そこで、LTV(顧客生涯価値)を高めることを中心とする「NSM(ノース・スター・メトリック、夜空の北極星のように正しい方向性を示すという意味)」という目標を掲げる企業が増えつつある。

 冒頭の「10日以内に7人の友達」といったNSMに寄与するためのKPIは「マジックナンバー」と呼ばれる。「このNSMやマジックナンバーをいかに活用していくかが、マーケティング分析業界の大きな変化の一つだ」と話すのは、米アンプリチュードCPOのジャスティン・バウアー氏だ。

セッション数は虚栄心の指標

 同社の「Amplitude」は、ウェブページやアプリの利用動向、店舗のPOS(販売時点情報管理)など購買情報、位置情報、ユーザー登録情報など、企業が持つファーストパーティーデータを統合し、マルチチャネルでユーザー行動を解析できる分析ツール。NSMやマジックナンバーを導き出すための支援機能を備えている。世界で1700社超が利用している。

 クリックやページ遷移のセッション数だけではなく、ユーザーがどれだけコンテンツをじっくり見ているか、あるいはコンバージョン(資料の請求や会員への登録など顧客の獲得)までにどれだけの手間がかかっているかといった時間の幅を分析できる。Amplitudeは、ユーザージャーニー(サービスを利用するときの経路や体験)の分析を重視した設計になっているという。

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