お菓子やソフトドリンクといった日本の商品を、主にサブスクリプション(定額課金)で海外に届ける越境ECサービスを手がけるスタートアップのICHIGO(東京・港)。2015年創業で7年目の22年に年商40億円突破を見込む。商品だけでなくその背景にある文化も一緒に伝えるなど、オーセンティシティー(本物であること)重視の姿勢が顧客に受けた。急成長を続ける理由と今後の展開を追った。

サブスクサービス「SAKURACO」で実際に海外の顧客に送ったボックスの例
サブスクサービス「SAKURACO」で実際に海外の顧客に送ったボックスの例

 ICHIGOは2022年5月、京都中央信用金庫(京都市)との間で、地元中小企業の海外販路の拡大や地域の振興について連携・協力を図るという覚書を締結した。覚書に基づく連係事業の第1弾として、ICHIGOが展開する地方の中小メーカーの菓子を詰め合わせて顧客に送るサブスクリプションサービス「SAKURACO」のメニューの一つに「京都BOX」を企画。京都府内の最大20社程度の菓子メーカーから商品を募集し、ICHIGOがその中から選んだ商品群を22年9月にも海外の顧客に販売する。

 越境ECサービスを手がけるICHIGOが今回、京都中央信用金庫と提携したのは、京都近辺の中小メーカーとの関係を強化し、自社で取り扱う商品のバリエーションを増やす狙いがある。それほどICHIGOの越境ECサービスは好調だ。

創業7年目で年商40億円を見込む

 15年8月に、日本の菓子やソフトドリンクを箱詰めしてサブスクリプションサービスで海外の顧客に販売する「TOKYOTREAT」を開始(現在は月額37ドル50セント[約5000円、契約期間を長くした場合の割引あり])。その後も順次サービスメニューを増やしてきた。

 16年5月にキャラクター雑貨や文房具を対象にした同様のサブスクサービス「YumeTwins」を、16年9月には上記2サービスで扱う商品を単品販売する「JAPANHAUL」を、17年1月には日本と韓国の化粧品を対象にした同様のサブスクサービス「nomakenolife」をそれぞれ始めた。20年2月には、顧客がアプリでクレーンゲームを楽しみ、獲得した商品を郵送で送るサービス「TokyoCatch」をスタート。21年2月には、前述した「SAKURACO」を始めている。

 6つのサービスを合わせて海外に抱える会員数は約180万人。販売実績のある国・地域も約180に及ぶ。会員の約70%が米国在住で、カナダやオーストラリア、欧州を含めると約90%が欧米在住になるという。現在はSAKURACOの売り上げの伸びが最も好調で、次いでTOKYOTREATが安定して売り上げを稼ぐ。サービス開始以来、会社としての売り上げは右肩上がりで伸びており、22年には年商40億円到達が見込まれる。

専任マーケターは全員外国人

 好調の理由は大きく3つある。1つ目は商品の選び方だ。ICHIGOは6つのサービスすべてで、日本人が日本のメーカーや卸から商品を仕入れるバイヤーを担当する一方、箱詰めする商品の組み合わせを考え、顧客にプロモーションするマーケターは全員外国人が担当するという分業制を敷いてきた。「海外の顧客の好みを外国人マーケターがつかんでそれをバイヤーに伝える。日本人バイヤーはマーケターの意向を踏まえ、自分の目で『これがいい』と思った商品を探して仕入れる。結果、競合他社に比べて限定品など珍しい商品が多くなり、そこが海外の顧客に受けたと思う」とICHIGO社長の近本あゆみ氏は語る。

 また、サブスクサービスであることを踏まえ、顧客が飽きないように毎月のラインアップに変化を持たせることにも力を注いだ。各サービスの専任バイヤーは、商品カテゴリーに偏りがないか、ボリュームは担保できているか、顧客が写真に撮ってSNSにアップしたときにバズりそうなお菓子が入っているかといった点をチェックリストで確認し、商品の質を担保している。

 スタートアップの場合、手間やコストを考えてメーカーや卸に品ぞろえを任せてしまいがちだが、そうなると顧客のニーズが高い商品よりもメーカーや卸が売りたい商品が多くなる可能性が高い。ICHIGOは手間暇をかけても自社で商品を選ぶことにこだわった。

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