2023年10月、デザインの国際団体 World Design Organization(WDO)による「World Design Assembly/世界デザイン会議 東京 2023」(以下、世界デザイン会議)が東京で開催される。1973年に京都市、89年に名古屋市で開催され、日本では34年ぶり。実行委員長の田中一雄氏に経緯や思いを聞いた。
World Design Assembly 実行委員長
――世界デザイン会議の開催地が東京に決まった経緯を教えてください。
田中一雄氏(以下、田中) 世界各国の都市が立候補する中から、東京とスペインのアリカンテの2都市に絞られ、最終的に東京に決まりました。なぜ東京が立候補したのか、なぜ今、東京でデザインの国際会議を開かなければならないのか。それは日本のデザインに大きな偏りがあり、それを変えていく運動の起点が必要と私たちは思ったからです。日本のデザインは、世界的に進んでいる部分もありますが、依然として20世紀型の古いデザインの認識にとどまっている部分もあるのではないでしょうか。経済産業省は「『デザイン経営』宣言」を出しましたが、国としては相変わらずデザインに関する認識が狭いと問題も感じていました。1973年の京都市、89年の名古屋市での開催を機に、日本ではデザインの地位や認識が変わりました。それが今、必要だと考えています。
人間にとって本来、大切にすべき価値とは
――世界に何を発信するのでしょうか。
田中 今回の会議のテーマは「DesignBeyond ー Renaissance for Convivial Society」(その先のデザイン - 誰もが人間らしく生きられる社会へ)です。社会が大きく変化している最中にあり、新型コロナウイルス禍を経て、今ではウクライナで戦争まで起きています。価値観の転換と急速なデジタル化が進み、不要不急といわれてきたものの中にこそ、人間にとって本来、大切にすべき価値があることに気がついたのではないでしょうか。人と人とのつながりが大切であり、そこへ帰っていく流れが起こると思います。
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