メガネの田中チェーン(広島市)は100年超の歴史がある眼鏡店を展開する。デイミアン・ホール社長は米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でイノベーション関連の担当だった経歴を生かし、店舗のデジタル化を推進してきた。独自のサブスクを浸透させ「日本のメガネ文化を変える」ことを目指す。

メガネの田中チェーンは、100年超の歴史がある老舗眼鏡店。iPadを使ったデジタル接客が特徴
メガネの田中チェーンは、100年超の歴史がある老舗眼鏡店。iPadを使ったデジタル接客が特徴

 外観からは一般の眼鏡店と変わらないようだが、ひとたび店員に話しかけると普通の店とは違うと分かる。最大の特徴は、iPadのアプリを使ったIT接客だ。カメラ映像で顔立ちを診断し、目の位置もチェック。生活の中での利用シーンもカウンセリングする。「業界の中で、一番デジタルの強みを持っている」と社長のホール氏は自信を見せる。

メガネの田中チェーンのデイミアン・ホール社長。ジャマイカ出身。米首都ワシントンのハワード大学を卒業後、2000年に米P&Gに入社。P&Gアジアを経て、13年にメガネの田中チェーン・メガネの田中ホールディングス専務に就任。16年に社長
メガネの田中チェーンのデイミアン・ホール社長。ジャマイカ出身。米首都ワシントンのハワード大学を卒業後、2000年に米P&Gに入社。P&Gアジアを経て、13年にメガネの田中チェーン専務。16年にメガネの田中チェーン・メガネの田中ホールディングス社長に就任した

 メガネの田中は全国で約120店舗を展開する1913年創業の眼鏡店チェーン。ジャマイカ出身で、2000年から米国やアジア地区のP&Gで経験を積んだホール氏は、結婚によって創業家の親族となった。これをきっかけとして13年にメガネの田中へ入社。16年には4代目社長となった。

 100年以上サービスを提供してきた老舗のビジネスを発展させるには「伝統的な眼鏡店という強みを生かしつつ、次の時代にどう進化させるかを考えた」とホール氏は話す。そこでP&Gの製品イノベーションプロセス担当だったという経歴を生かし、接客のデジタル化を推進している。

田中メジャーで黒目を測定

 例えば「印象分析アプリ」は、iPadで顔を撮影すると顔立ちを自動分析し、ポップ、フレッシュ、シックといったイメージに分類する。そのイメージに合わせて店員が眼鏡を紹介する。

「印象分析アプリ」は、iPadのカメラで顔を撮影し、輪郭や目鼻立ちを自動分析。似合う眼鏡を探しやすくする
「印象分析アプリ」は、iPadのカメラで顔を撮影し、輪郭や目鼻立ちを自動分析。似合う眼鏡を探しやすくする

 他にもホール氏は、「田中メジャー」と呼ばれるアイポイント測定アプリを成功例として挙げる。眼鏡をかけたときに、レンズ内で黒目がどの位置にあるかを測定する。通常の眼鏡店では、レンズの上にシールを貼ってペンで記録するといった方法を取る。それでは店員一人ひとりのやり方が異なることがあり、ヒューマンエラーが出やすい。アプリ測定によって均一化することで、再調整や返品が少なくなり、満足度向上にもつながるというわけだ。

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