日本ハムが2022年4月に立ち上げた2つの独自ECサイトが、順調なスタートを切った。新たなサイトは集客に苦労しがちだが、日ハムはユーザーが口コミで勧めたくなるよう促す“4つの勝ち筋”が見えていた。その戦略を明らかにするとともに、オープンから1カ月後の手応えを聞いた。
日本ハムは「D2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)」と呼ばれる小規模の直販型ブランドを強化しており、2022年4月に2つの独自ECサイトを立ち上げた。一つは、「Table for All(テーブルフォーオール)食物アレルギーケア」。22年2月に開始した食物アレルギーに関する情報や対応レシピ、オンライン栄養相談といったサービスに、独自ECサイトを追加した。
ECサイトには、米粉で作った「お米で作ったまあるいパン」(税込み490円、以下同)やロースハム(360円)などが並ぶ。いずれもアレルギー表示として「特定原材料7品目」「特定原材料に準ずるもの(21品目)」が一覧できる表が付く。グルテンフリーの食品には商品画像の左下にマークが付いており、子供は食物アレルギー対応食品、親はグルテンフリーといった具合に、親子一緒に注文しやすい工夫がなされていた。
もう一つは、「Meatful(ミートフル)」。酒や肉との食べ合わせ「お酒ペアリング」、北海道産のビールやハム・ソーセージのセット「Meets Hokkaido」、手軽に肉を楽しむ「DRY MEATS」といった、5つのシーンに合わせた肉系の商品を取りそろえる。例えば、お酒ペアリングの「日本とアメリカの最高ランク牛肉食べ比べをスパークリングワインとともに」(税込み1万1000円)は、黒毛和牛やスパークリングワインなどのセット。ECサイトには、肉の焼き方を紹介する動画や盛り付けのコツなどが紹介されており、商品を購入するだけでなく体験そのものを楽しめる構成になっている。
どちらのサイトも、目指すのは情報提供から直販までを一気通貫するECプラットフォーム。このサイトを訪れれば疑問が解決し、場合によっては必要な商品まで購入できる。利便性の高さで新規顧客を囲い込む戦略だ。新規ブランドを率いる新規事業推進部部長の高崎賢司氏は「現在、テーブルフォーオールとミートフルで扱っているのは自社開発商品だけだが、将来的には他社商品も扱っていきたい」と早々に拡大をもくろむ。
これまでギフトのページ「ニッポンハムお届けネット」や、サプリメントなどを販売する「ニッポンハムヘルスケアOnline」は展開してきたが、独自ブランドを押し出してビジネスモデルを構築したECサイトは初の試みという。
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