ホンダがミニバン「ステップワゴン」を2022年5月27日に発売した。21年末から段階的に情報が解禁され、22年1月にはトヨタ自動車が新型「ノア」「ヴォクシー」を発売したこともあり注目度は十分だ。一方で自動車ジャーナリストの小沢コージ氏は、新型ステップワゴンには「個性」はあるが、「チグハグさ」もあると分析する。

2022年5月27日に発売されたホンダの「ステップワゴン」と開発担当の蟻坂篤史氏(右)と小沢コージ氏(左)
2022年5月27日に発売されたホンダの「ステップワゴン」と開発担当の蟻坂篤史氏(右)と小沢コージ氏(左)

新ミニバン戦国時代に選んだ次の一手

 何度か書いているが、2022年はバッテリー電気自動車(EV)以上に国産ミニバン頂上決戦の年となる。何しろ国内セールストップのトヨタ自動車「ノア」「ヴォクシー」を筆頭に、ホンダ「ステップワゴン」、日産自動車「セレナ」というミニバン3強がすべて年内にフルモデルチェンジするのだ。同時にコンパクトなトヨタ「シエンタ」やラージクラスの「アルファード」のモデルチェンジも噂されており、久しぶりに一大シャッフルが行われる。

 中でも人気筆頭のノア&ヴォクシーは22年1月に発売され、評判は上々だ。5月27日にはこの箱形ジャンルをつくった元祖である、ホンダ・ステップワゴン6代目が登場。いよいよ熱きミニバンバトルの第1ラウンド開幕というわけだ。カーン!

 とはいえ冷静に見ると、ミニバン3強は既にある程度の住み分けができている。もちろん1996年に初代ステップワゴンが出てからしばらくはホンダの天下だった。ライバル、セレナが現在のようにFF(前部エンジン・前輪駆動)低床ボディー化したのは99年からだし、初代ノア&ヴォクシーが登場したのは2001年。ネームバリューが違っていた。

 しかしあれから26年、トヨタは猛烈な販売力とデザイン戦略、ハイブリッドを軸に台数を伸ばし、セレナは上質感と広さと先進安全で人気を高めた。他方ホンダは片側スライドドアや低床プラットフォーム、観音開きバックドアの「わくわくゲート」など独自性にこだわっている間に、購入層を取りこぼしてしまった印象がある。

 何しろ21年通年で見るとノア&ヴォクシー&エスクァイアの兄弟車が合算約12万6000台、セレナが約5万8000台を販売したのに対し、ステップワゴンは約3万9000台と惨敗(※1)。ホンダの個性派戦略が成功したとは正直あまり思えない。

 だが、ここが変わらぬホンダの面白さだ。6代目ステップワゴンは他に合わせるどころか、さらなる個性化戦略に出たのだ。それがまずうかがえるのが新デザイン路線、小沢の言うところの「サッパリ塩ラーメンフェース戦略」である。

※1:日本自動車販売協会連合会「乗用車ブランド通称名別順位」(2021年1~12月)
6代目となる新型「ステップワゴン AIR(エアー)」
6代目となる新型「ステップワゴン AIR(エアー)」

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