カメラなど映像機器や放送技術の展示会「2022 NAB Show」が2022年4月23日~27日、米ラスベガスで開催された。映像メディアに従事する人々にとっても、広告やマーケティングは大きな関心事の一つ。数あるセッションの中から、斬新な「メタバースマーケティング」に取り組む企業の取り組みを紹介する。

米ラスベガスで2022年4月23日~27日、映像機器や放送技術の展示会「NAB Show 2022」が開催された
米ラスベガスで2022年4月23日~27日、映像機器や放送技術の展示会「NAB Show 2022」が開催された
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 「楽な姿勢で息を吸ってください……6つ数えて胸とおなかを膨らませ……鼻から息を吐いてください」。落ち着きのあるトーンで、やさしく女性の声が呼びかける。ヨガのポーズで瞑想(めいそう)をするのは、スマートフォンのアプリ画面に映るブロック玩具風のキャラクターだ。ヨガウエアの人気ブランド「Alo Yoga」を展開する米アロは2022年2月、3Dゲームのプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」で独自のバーチャル空間「Alo Sanctuary(アロサンクチュアリ)」をオープンした。

 制作したのは、企業の広告案件を多く手掛ける映像スタジオの米ソウホース。同社はメタバース部門を新設し、Alo Yogaをはじめ複数の案件に取り組んでいる。「今まさに依頼が殺到している。(良い意味で)クレイジーな施策と認識されていて、想像以上に大きなブランドからも反応がある」とソウホースのアートディレクター、ジェシカ・ウェイストーマス氏は話す。

ヨガウエアのブランド「Alo Yoga」のバーチャル空間「Alo Sanctuary」
ヨガウエアのブランド「Alo Yoga」のバーチャル空間「Alo Sanctuary」
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 評判が高い理由の一つは、Alo Yogaのバーチャル空間で高い成果が見えてきたこと。「ニューヨーク・ファッション・ウイーク」と同時期に公開することで話題を集め「オープン当日の夜に紹介ビデオが100万回再生された」(ウェイストーマス氏)。利用者は3カ月で2500万人に到達。5万人のユーザーによる評価では「いいね」が9割に達した。「適正に空間をつくることができれば、高いブランドロイヤルティーを生み出せる」と、同氏は自信を見せる。

 高い評価を得るためのポイントはどこにあるのか。まずはディレクターや制作陣が「メタバースのプラットフォームとブランドの双方を理解し、深い愛着を持つこと」が大切だとウェイストーマス氏は指摘する。ユーザーに求められる世界観、ブランドが生み出したい世界観を融合し、伝えるストーリーを生み出すうえで不可欠な要素になるという。

 次に「アイテムが無料であること」。Robloxの空間内では、ゲーム内のアイテムを販売できるという特徴がある。この機能を使って、ここだけで手に入る高額なレアアイテムを販売するという手もあるが、評価には結びつきにくい。利用者数や「いいね」の数をKPI(重要業績評価指標)とするマーケティングと割り切れば、無料で配布したほうがいいというわけだ。

「Alo Yoga」のバーチャル空間を制作した米ソウホースのアートディレクター、ジェシカ・ウェイストーマス氏
「Alo Yoga」のバーチャル空間を制作した米ソウホースのアートディレクター、ジェシカ・ウェイストーマス氏
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